風来坊@真幸福知

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始まりは坐禅会のご案内, 思いつくことを何でも書いていたら星空系に... Started with Zazen session info. now almost astrophotos. 시작이 참선회 안내, 이제 별하늘 사진들.

10cmED: 最初の1本か, 最後の1本か!?

思うに, 10cmEDというスペックは, 最初の1本か, でなければ最後の1本か, ということなのだろう.

専門店で「大人の入門機」としてオススメされるスペックのひとつでもある. EDレンズを使ったものなら鏡筒単体でもそれなりにお値段はするし, 大きさ・重さもあるのでちゃんと使おうとするとそれなりの赤道儀も必要, ということでセットで揃えるとかなりの額になる. 屈折望遠鏡は光軸がずれにくく内部にホコリが入ることもないのでメインテナンスが楽で, そういう意味で初心者にやさしいと思われている. 「大人の」「入門機」という一言にはそういう含蓄があるのでしょう.

しかし, 10cmという口径と屈折望遠鏡の一般的なF値(イマドキはF7〜9くらい?)は惑星の模様を見たいとか, 暗くて小さい銀河を撮影したいとかいうマニアックな欲望には少しスペック不足ではある. コストを下げて, メインテナンスの技術や手間は何とかするからもう少し性能を...という向きには, 15cmくらいのニュートン反射望遠鏡が良いと思っている(私流オススメ入門機).

ところで知人のY氏は, 主砲の25cmマクストフカセグレン(稼働率はそれほど高くはない)の他は8〜10cmクラスの屈折望遠鏡を愛用しておられる. 光学設計を趣味とされレンズの特性にはやたらと造詣が深い. 時々私も望遠鏡を持参していっしょに月や星を眺めるのだが, 15cmカセグレンと10cmアクロマート屈折(ツァイス製F11, だったかな?)で月を見比べた時の細部の見え方がほとんど変わらないのはともかく, 屈折望遠鏡の星像がコンパクトですっきりしていること(回折環が少なく, エアリーディスクが強い)に驚いたことがある.

これまでのところ, コストと口径と取り回しのバランスを考慮した結果(?) 8"ニュートン, 6"カセグレン, 6cmEDなどを使っていて不満はないのだが, 最後の1本はもしかしたら10cmEDかも...と考えが巡り始めた.

8" F4ニュートンは明るくてよく写るが, 風があるととたんに歩留まりが落ちてしまい, 2時間の撮影で使えるコマはたった10分ということもある. もっと小さくて(風に強いということ)明るいのは6cmF4.8(レデューサ使用)で, その間にはカセグレン系がいるが, レデューサを使ってもF7くらい(C5に0.7xレデューサとか). カセグレン系は眼視と惑星写真にはとても良いが, DSO撮影にはFが暗くて弱い. 

もしもここに10cmF7が入ると, レデューサでf=560mm, F5.6くらいになってちょうど良い. 風があって8"がダメなときも使えそうな気がする. それに, 眼視での星像は一度見たら忘れられない魅力があるかも...

こんな感じになってしまう輩が, 最後の1本をポチってしまうと考えられる(笑)

 

さて, 数年前から某熱帯雨林界隈に登場して天体望遠鏡市場の価格破壊を起こしているSVBONY社は比較的廉価なEDガラスFPL51をつかった(2枚玉)SV503シリーズに大中小を揃えていて, その大が102mmF7, 重量は4kgでフード収納時の全長が630mmという. お値段も画期的安価で良く売れているようだが, 最後の1本として求めるのはFPL51ではないかも.

10cmED市場はバリエーションに富み, 写真用のフラットナーを内蔵した4枚玉や5枚玉は除外しても, 硝子材がFPL51かFPL53(相当品)か(色収差の程度), 2枚玉か3枚玉か(球面収差?), 焦点距離F7〜9(サイズ, 用途)などの選択肢がある. コンパクトでお気軽観望できて惑星も見えてDSOも撮れるものとすると, サイズと重量, 温度の影響, 色収差の程度などを考慮して, FPL53を使った2枚玉のF7という結論と思う.

何ヶ月か前に◯◯オクに笠井トレーディングの102SEDという鏡筒が出ているのを見かけたのだが, 仕様を調べるとFPL53とランタン硝子の2枚玉でF7, フードを縮めると全長が570mm, 重量3.8kg. そのときは落札しなかったが, これは良さそう. この全長ならば, 使っていない三脚用のバッグにちょうど収まりそう.

ということで...

 

102SEDとサイトロンの三脚付属のバッグ. 鏡筒のフードには放射冷却による結露防止用に, ダイソーの「防虫食器棚シート」.

この手のシートは以前から放射冷却による結露防止のために使っているのだが, ホームセンターで何気なしに買ったもの(キャンプ用?冬場の壁の断熱用?)を使い切った後, 同じような薄いアルミシートが見つからず探していた. ググってみたらダイソー食器棚用の防虫シートが同じくらい薄くて使いやすいのを見つけた. 今後は, ダイソーまたは台所用品売り場へ行けば良い.

さらに, この三脚用バッグに鏡筒を収めるためには, 鏡筒バンドを締めている立派なつまみ付きナットがかさばるので, 小さな蝶ネジに交換. 

上につけているのはガイド鏡用のアルカスイスクランプで, これを付けると鏡筒バンドのナットと両立しないのだ.

これでとてもコンパクトに収納できるようになる.

写真を撮るにはSX2赤道儀を使うのだろうが, お手軽観望ならばSA GTiでも行けそう.

 

102SEDはブログや天体写真のサイトなどを検索してもあまり使っている人を見かけないが, 双眼望遠鏡を作っているビノテクノという会社がこれを2本使ったモデルを出していたりする. もしかしたらアナログ指向の眼視ファンの間で使われていてネット情報にあまり上がらないのか??

ちなみに笠井トレーディングは素人相手の商売はしない感じのスタンスなので, 少なくとも「最初の1本」ではない.

(海外では同等品と思われるTS-Optics社のPhotolineシリーズは良く出てくる)

 

某氏曰く, 惹き込まれそうな瞳(笑)

何が見え, 何が撮れるか...