風来坊@真幸福知

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始まりは坐禅会のご案内, 思いつくことを何でも書いていたら星空系に... Started with Zazen session info. now almost astrophotos. 시작이 참선회 안내, 이제 별하늘 사진들.

工作! お手軽5cm望遠鏡(クローズアップレンズAC No.5を使って)

はじめに5cm単眼鏡があった

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有効径5cmで倍率7倍くらいの双眼鏡というのが星空を眺めるための定番なのだが, まあ片方でも良い. これはビクセンからSelectというブランド名(廉価品?), その名もナイトビジョンとして昔販売されていたモノらしい. ○○オクで以前入手して(相場3000円くらい?)から車のダッシュボードに常駐していた. 天の川をちょっと眺めるとか, 星雲や彗星などの写真を撮る時に位置を確認するのに便利だが, 不満を言えばもう少し広い視野が欲しいところ. 実視界6°で倍率7倍なので見かけ視界42°. 望遠鏡の安めのアイピースでも見かけ視界50°なのでもうちょっと広々した感じに見える.

それから, 上の写真でわかるようにこれは双眼鏡の片側を製品化したものらしく(光軸や倍率で検査に通らなかったのバラして売った疑惑?), ポロプリズムで像を正立させている. 天体望遠鏡のように対物・接眼レンズの間に何もないのと比べると光路に部品が多い分だけ明るさやシャープさは落ちる. ちなみに, 天体望遠鏡にくっついている5cmのファインダーは倍率7〜9倍で, 像が逆さまであることを妥協すれば明るさと切れ味, 視界の広さは一段上.

カメラ用のクローズアップレンズ

Kenkoのクローズアップレンズにはアクロマートタイプがあって, それを対物レンズに使うと結構良い望遠鏡が安く作れるという話がちまたに出回っている.

手元にはカメラのズームレンズ用に買ったクローズアップレンズ(AC No.4 φ58mm)というのがあって, それとアイピースを組み合わせて覗いてみると, なかなかシャープな視界である. それで, 冒頭の5cm単眼鏡をリプレイスするクローズアップレンズ製望遠鏡への野望が...

工作!

材料は以下の通り.

  • Kenko-Tokina クローズアップレンズ AC No.5 φ52mm (焦点距離200mmなのでファインダーより少し長い程度) 1500円くらい
  • Nikon リバースリング BR-2A (この品番が52mm) (カメラにレンズを裏返してくっつけるとすごく接写できるというキワドイ道具(笑)) 1500円くらい
  • Nikonレンズ用のバックキャップ 200円くらい
  • Vixenアイピースアダプター 36.4mm=>31.7mm(1.25インチ)など 1000円くらい
  • 硬質塩ビパイプ VP50 短めの  25cmで200円くらい
  • ターナー アクリルガッシュ ジェットブラック(つや消しアクリル塗料, 筒の内面の反射防止に) 20mL 300円くらい
  • アングルブラケット L50 (モノタロウで買える)(脚が欲しい場合) 200円くらい

筒は, かっこよく作ろうと思えば, 5cmファインダーのアルミ製鏡筒を1本犠牲にするとか, BORGの筒を組み合わせるなどの方法が考えられるが, 安く行くにはホームセンター.

欲を言えばアルミの方がカッコよいのだが, 5cmの筒は見当たらず, 妥協して塩ビパイプを物色する. (ノギスを持って店内をうろつく怪しい人(笑)) 「VP50」という規格のものは内径が51mmで都合が良い. これなら, 端の内側をナイフで少しだけ削り取れば, 52mmのフィルタネジがちょうど入りそう.

こんな感じに完成!

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対物レンズ側:内面を少し削った塩ビ管にクローズアップレンズをねじ込み, エポキシで接着.

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接眼レンズ側:Nikonのリバースリングの52mmネジの側を付ける.つまり, 後端はFマウントになる.

レンズのバックキャップにアイピースアダプタをつけたものを取り付けるとこんな感じに.

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接眼部(脚付き)は, そもそもカメラのレンズを望遠鏡にするために以前余っていた部材で作ったもの. この度Nikonのリバースリングを使おうと思いついたのはこの接眼部を手っ取り早くくっつけるためのアイディアなのです.

アイピースを取り付けるだけで伸縮によるフォーカス調整機能はない. アイピースを抜き挿しして合わせるということ. 事前に合焦距離を確認しておいて, それを参考にして塩ビパイプを14cmに切ってある. Vixenや賞月観星の2.4〜25mmアイピース, セレストロンの8〜24mmズームアイピースで合焦することを確認.

例によって遠くの鉄塔でテストしてみる. まず眼視で, 8倍(25mm)では5cmファインダーと比べて視野の周辺までよくフォーカスしている. 50倍(4mm)では鉄塔の先端にある番号「110」がくっきりと見える. 5cmファインダーやガイドスコープと比べるとかなり優秀♪♫

構造上ミラーレスカメラは付けられない(合焦不可). 唯一取付けられるカメラはASI120MM-miniでそれで撮ってみる.

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構造上拡大撮影できなかったので眼視で見えた分解能ほど細部は写らなかった. これは眼視専用ということです.

こういうことで, ダッシュボードの単眼鏡はこちらに座を奪われるのだ.

補足

  • Kenkoのクローズアップレンズは「AC」がアクロマート. 「MC」(マルチコート)はシングルレンズでは色収差があって望遠鏡に適さない. ACのNo.2なら焦点距離500mmでもっと高倍率が出やすい. 筒はその分長くなる. その場合, 台座は筒のバランスの良い所に付けるべき.
  • 天体望遠鏡として使うなら, 天頂プリズムがあった方がよさそう.
  • 筒の中に絞り環を入れるとコントラストが上がる.
  • コストを計算してみると約5000円. 安いアイピース1個(SVBonyの23mmとか)を加えると+2000円で7000円. 安い5cmファインダーの新品で6000〜7000円くらいなので同じくらい. 安い5cmガイドスコープ(アイピースなし, フォーカス機構あり)だと8000円くらい. 対物レンズのクオリティはそれらより一段上でアイピースが交換できるのでコスパは良しとしましょう.
  • 下の記事によるとNiSiというブランドでEDアポクロマート(2枚玉)のクローズアップレンズがあるらしい. NiSiクローズアップレンズNCキットという. フィルター径58mmと77mmがある. 価格は税込約1.1万と1.7万. 焦点距離は撮影可能な距離から推測すると各々220mmと300mm, F3.8〜F3.9くらいになる. F4を切る明るさのED2枚玉レンズがこの価格. かなりの短焦点なので対物レンズとして使うと像はそこそこかもしれないが, Kenko ACクローズアップNo.2をフラットナー/レデューサとして使えるという話もある. (組み合わせるとペッツバールみたいな4枚玉!?) 77mm EDアストログラフが2〜3万以下でできるかも!?