マクストフ・カセグレン(マクカセ)は凹レンズの補正板を前面に配置したカセグレン系で, 散乱光が凹レンズで弱まるのでコントラストが良いと聞く. 比較的安価な反射系で高価なEDアポに匹敵する切れの良い象が得られることからアポキラーなどとも呼ばれる.
天文同好会の方々とつきあううちにそういうような知識が入り, 一方では15cmや20cmの望遠鏡とGPD赤道儀を二階から庭に持ち運ぶ元気が出ない暑い夏の夜(そういう時に限ってシーイングが良さそうだったりする)にも持ち出す気になれるお手軽望遠鏡としての小口径のマクカセ(ポタ赤に載る10cmくらい)を妄想したり....
というときに, ○○オクで「ジャンク」とされている Kenko SE-GT102M (10cmマクカセ) を見つけてしまった. メーカーからは自動導入架台とセットで販売されているモデルだが, その鏡筒のみで, ファインダーの脚が欠品となっている. このくらいでジャンク扱いならば, 鏡筒自体は大した問題のない掘出し物ではないかと期待して落札(入札は1人だけだった)してみたら...
見た目は特に問題なさそうなのに, フォーカスがどうしても出ないTT
アイピースを外して接眼部を覗きこむと, どこまで近づいても離れても, 向こうの景色が正立して見えたまま. 本来なら焦点面近くでボワっとなって象が逆転するはずだが, そういうことが起こらないということは, 焦点がはるか後ろまたはそもそも焦点を結んでいないことを意味する.
フォーカスノブの回転の感覚も変なので主鏡の後ろを開けて調べてみると, 主鏡を動かすボルト(下の写真, 鏡筒の手前から突き出しているもの)がフォーカスノブのボス(真鍮の筒みたいな部品)にちゃんと貫通していなために主鏡が異常に前方にある状態らしい.
それで, ボスを調べると雌ネジが不完全でボルトが貫通できない. このボスをネジがちゃんと貫通したら, 主鏡の位置と可動範囲が正常になり, フォーカスが出るんじゃないかと思われた.
実際に加工する前に, ボスを外した状態で蓋を締めて主鏡の後ろに突き出したボルトを手で直接前後に動かしながらアイピースを覗いてみると, 確かにフォーカスが出る. それでボスの加工へ....
ところが, このボスの雌ネジはM6と思ったら普通の並目(ピッチ1.0)じゃなく細目(ピッチ0.75),手元にもホームセンターにもこの規格のタップはない. 結局, アマゾンで購入. 届いたところで, ネジを切り直し, 再び望遠鏡を組み立てて, やっとフォーカスが出るようになった.
人工星で焦点内外像をチェックして光軸をあわせ, 星でテストしてさらに調整したら, シャープな像ときれいな回折環が出るようになった. 今夜は薄雲があって惑星はあまり見えないので, 後日...
重さは2kgほどなのでポタ赤(スカイメモS)にも載る. ささっと持ち出せる, または窓から見られるお手軽望遠鏡としての活躍を期待.
ちなみに, いわゆるミラーシフトはある. 「あ〜このことか」と思う程度. 眼視用としては我慢できるくらいか...
追記: その後このように...
外に出るのもおっくうな時に, マドギワからお月見, 惑星観望ができたらいいなぁということでスカイメモの小さな脚を製作.
- モノタロウで買った「アングルブラケット45B」
- 棚受けアングル
- 塩ビパイプ(VP50)とキャップ
- M6x20六角ボルト, 袋ナット(3点の足として)
- 9mm厚の板(メラミン化粧合板)
フォーカス合わせなど手を触れると振動しますが, 手を離してしばらく待てば200倍くらいでも観望できそう. 窓から南東側の高度40°くらいまでは見えそう.