このブログで以前紹介した国際的な宗教の専門家たち4名による日本政府への意見書(Bitter Winter誌)↓
で, その時には特に注意を向けなかったイギリス政府による1980年代の失敗例というのがあった.
最近, イギリス政府が以前に家庭連合(旧統一教会)の慈善団体としての資格(日本の宗教法人に似ているらしい)を剥奪しようとして失敗し, 巨額の損害を被ったという話を見かけていたのだが, 中山達樹弁護士のブログ↓
でもそのことが紹介されているのを見つけ, ソースがこのBitter Winterの記事だと知った.
どうして7月に記事を紹介したときにはこの点が目に止まらなかったのだろうと不思議な気がする.
Bitter Winterの記事(日本語版)のその部分を引用する:
反教会活動における背教者の役割:イギリス政府の対家庭連合事件の失敗
他の類似事例同様、統一教会・家庭連合に反対する活動は、ほんの数人の背教者にほぼ依存しています。その中の1人は「小川さゆり」という仮名を用い、反統一教会の全国弁連により大々的に宣伝され、日本の首相にまで紹介されました。他の背教者同様、彼女の話の主要かつ重要な部分は明らかに虚偽であり、国際的な宗教の自由に関する専門誌『Bitter Winter』(過去4年間の米国国務省の宗教の自由に関する報告書で200以上の記事が信頼できる情報源として引用されている)や、受賞歴のある日本のジャーナリスト福田ますみ氏によって明らかにされています。
これは意見の次元の問題ではありません。小川さゆり氏の両親は、彼らの娘の話が誤りであることを証明する数十の文書を提出しています。両親の話は重要な証拠に裏付けられており、小川さゆりの話よりも真実味がないとの偏見を持つ理由はないため、首相や他の日本当局が小川氏の両親からも話を聞くべきだったと私たちは問題提起させていただきます。
重要な先例として、イギリス政府は、1984年に「反カルト運動」からの要請に基づき、イギリスの統一教会から「慈善団体の地位(日本の宗教法人格に非常に類似)」を剥奪すべく、背教者の統一教会に関する証言にほぼ全面的に依存するという不適切な行動を採りました。背教者の多くは、プロの強制的脱会説得専門家によって強制的に棄教させられており、大多数はイギリスやアメリカにおける反カルト運動の影響を受けていました。この事実が統一教会の代理人弁護士らによって暴露されると、政府の主張は崩れ、政府はその主張の完全な取下げを余儀なくされ、現在の価格で約6百万ドル(8.5億円)以上相当の費用を支払わされました。この事件の結果、イギリス政府は反カルト活動家との協力関係をやめ、その代わりINFORMという組織を通じて新宗教運動の学術的な研究者と協力するという決定を下しました。
小川氏などの背教者に依存することは、適正手続や正義の尊重までもが疑われる典型例であり、この件で深く憂慮されるところです。統一教会・家庭連合に対する敵対的証言が組織的に優遇され、攻撃的な反家庭連合活動家が家庭連合問題を扱う公式な委員会に参加し、それと異なる意見や証言が真摯に考慮されていないように私たちには見受けられます。
政府による法人解散命令の請求が行われると言われてきた10月も上旬を過ぎようとしている今だからこそ, 「英国政府による同じような措置で結局は政府側が主張を取り下げ, 8.5億円相当の費用を支払わうことになった」というのは, 日本政府にとって無視できない事実じゃないん?と問いたい.
この度の政府による家庭連合(世界平和統一家庭連合)と関連団体への異常と言える差別的な扱いは, 宗教の本質について肯定的に捉える感性を持つ人であれば, また人権と正義について深刻に考える人であれば, 自由民主主義国家の(はずの?)日本にあって看過できない事態として危機感をもって当然のことと思う.
にもかかわらず「ちょっと待て」という声は宗教界からはほとんど聞こえない. マスコミがこぞって家庭連合バッシングに追従していてそれ以外の情報が隠されているからかもしれないが...
その代わりに, 表に出て声を上げてくださった人物が4名. 徳永信一弁護士, ジャーナリストの福田ますみ氏, 中山達樹弁護士, もともと家庭連合に批判的なキリスト教牧師の中川晴久氏である. ここにキリスト教にご縁のある方が多いことには, 少しばかり日本の宗教にも希望の光を感じていたりする.
「信者の人権を守る2世の会」が開いたシンポジウムでのご発言などによると, 徳永信一弁護士はかなりキリスト教の素養があるらしい.
中山達樹弁護士は聖書を学ばれたことがあるそうだ. この時勢の中で家庭連合の改革に協力し, 解散命令請求に対しても異を唱えるココロは, 「たとえ自分のキャリアに傷がつくとしても, 魂に傷は付けなくない」ということだそうで, 感銘を受ける.
ジャーナリストの福田ますみさんは宗教的背景については話されていないが, 真実を明らかにするためには衝突も恐れず行動される姿はまさに真理の徒. 真理は宗教に通じる.
そして, キリスト教牧師の中川晴久氏はもともと家庭連合に批判的な立場だそうだが(キリスト教の伝統的教義と原理講論は違う), 今の状況に非は, 正義はどちらにあるかについては冷静に見つめて発信されている.
この度の事態, 解散命令請求が行われるのか否か, 請求が行われて司法の判断で実際に命令が下されるのか否か, それによっても結論が出るまでの時間は大きく変わる. 請求が行われて司法判断を待つようになれば, その期間にも, これまでに家庭連合や関連団体, 関係者が受けてきた社会的な困難はさらに悪化して継続するだろう.
そして, もしも司法によって解散が不適当として却下されたらどうなるか?
家庭連合と関連団体, 関係者は政府と, 世論を歪んだ情報によって扇動した霊感弁連や鈴木エイト氏, マスコミに対して, 損害賠償請求という形で猛烈な反撃を行う, かもしれない.
不幸にも, この騒ぎの渦中で信者の中から自殺者, 自殺未遂者も出ているという. 職場や学校を追われた方々もいる. 進学や就職での不利益を被った方, ストレスによって健康を害した方など数え切れないだろう.
日本という自由民主主義を是とする国, しかし近大以前には苛烈な宗教迫害の歴史を持つ国で, 現代に起こった宗教迫害にきっちりと始末を付けて, 未来永劫に魔女狩りを撲滅するために...
さて, この10月, どうなるか!?
=祈=
この騒ぎで言論空間から忘れ去られたかのような安倍元首相の暗殺事件の真相解明は, どうなるのだろう? 真実と本当の背景は?
追記: 英上院のヴェルマ議員からも上川外相に書簡
10/10にこういう記事があった. 冒頭に書かれた要旨を引用する.
英上院(貴族院)のバロネス・ヴェルマ議員(保守党)は6日、上川陽子外相宛に書簡を送り、日本政府が検討している世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求に「深い懸念」を表明した。ヴェルマ氏は、英国政府も約40年前に旧統一教会の法人格を不当に剥奪しようとして多額の賠償責任を負ったことを挙げ、「両者のケースには憂慮すべき類似点があるように見える」と、日本政府に同じ過ちを繰り返さないよう求めた。