風来坊@真幸福知

風来坊@真幸福知

始まりは坐禅会のご案内, 思いつくことを何でも書いていたら星空系に... Started with Zazen session info. now almost astrophotos. 시작이 참선회 안내, 이제 별하늘 사진들.

シリウスB: R200SSで攻める, 他

R200SSでシリウスBチャレンジ

西日本が高気圧に覆われて快晴になった3/15の夕方, このところ惑星など分解能勝負ではGS150CCの後塵を拝してる感じのR200SSでどこまで見えるか試したい衝動にかられて再びシリウスチャレンジ.

これまでの印象として, R200は集光力では当然GS150に勝るが, F4の短焦点ニュートンの宿命でコマ収差が強烈, コマコレなし低倍率観望では視野周辺はNG, そもそも星像のコンパクトさでもGS150に負けている感じを持っていた. DSO撮影でも星像が期待ほど鋭くない. フォーカスが甘いだけか? 光軸が甘いのか? それともシーイング? こんなもんなのか?というモヤモヤ感あり. 取り回しについても, GS150が石英ガラスの15cmで短い鏡筒なのに対し, R200はパイレックスでもなさそうな青緑っぽいガラスの20cmで筒も長いので, 温度順応に時間がかかるし, 運ぶのも面倒. 手がかかる分成果が欲しいところだが....

ところで, 高倍率での撮影には, GS150がもともと長焦点で2〜3倍バーローでベストな結果が得られるのに対し, 短焦点のR200ではバーローの品質に敏感なのか, これまでのところアイピース投影法の方がマシという結果だった. ここらへんも解像度勝負に負ける要因かもしれない. 最近入手したTeleVueの3xバーローで状況が変わるかも, という期待はある.

1〜2時間鏡筒を外に放っておいてからTeleVue 3xバーロー + 賞月観星10mmアイピースシリウスを見ると, シーイングはそれなりに安定していて悪くない. 時々シリウスBが見えるような気もした.

アイピースCMOSカメラ(ASI385MC)に取り替え, シャッターとゲインを調整してみると, PC画面に意外なほどあっさりとシリウスBが現れた.

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シリウス: R200SS+TeleVue 3xバーロー, IR/UVカットフィルタ, ASI385MC. ASICapでキャプチャ(gain 380/ss 50ms, 4000コマ); AS!3で20%スタック, Gimpでwavelet/tone/crop.

先日GS150CCで撮影したときには, シリウスBが見える瞬間がたまにくる感じだったので動画を撮ってそのままスタックというわけにいかず, コマ撮りしたPNGを手動で選別するという作業が必要だったが, 今回はそのまま4000コマの動画を撮ってAS!3に任せることができた. 動画もそれなりに見られるモノに↓

  220315sirius-r200ss-tv3x-1024x768+comment+still

ちょっと心配だった光軸もそれなりに合っているらしく, シーイングが良ければGS150CCに負けてるわけではなさそう. これでR200SSも面目躍如かも :-)

他の二重星(多重星)たち

他の冬の空の二重星たちも撮影してみた.

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リゲル(オリオン座β): R200SS+TeleVue 3xバーロー, IR/UVカットフィルタ, ASI385MC. ASICapでキャプチャ(gain 380/ss 50ms, 4000コマ); AS!3で50%スタック, Gimpでtone/crop.

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メイサ(オリオン座λ): R200SS+TeleVue 3xバーロー, IR/UVカットフィルタ, ASI385MC. ASICapでキャプチャ(gain 310/ss 50ms, 4000コマ); AS!3で50%スタック, Gimpでtone/crop.

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オリオン座σ: R200SS+TeleVue 3xバーロー, IR/UVカットフィルタ, ASI385MC. ASICapでキャプチャ(gain 450/ss 250ms, 100コマ); AS!3で50%スタック, Gimpでtone/crop.

オリオン大星雲の中心部にある四重星トラペジウムは星雲もいっしょに.

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トラペジウムとオリオン星雲の中心部: R200SS+TeleVue 3xバーロー, IR/UVカットフィルタ, ASI385MC. ASICapでキャプチャ(gain 360/ss 1s, 100コマ); AS!3で50%スタック, Gimpでtone/G'MIC repair/inpaint (multi-scale)によりノイズ除去.

↑これは星雲も撮ろうと思ったので動画じゃなく, 1sのコマ撮りを100コマとダーク, バイアスも撮ったのだが, 星が少なすぎてAPP(Astro Pixel Processor)がstar analysisしてくれないTT. Sirilで相関係数でregistrationできたが暗い部分にシマシマのノイズが目立つようになり, あきらめて前処理なしでAS!3でスタックした. ホットピクセルのノイズが連なった傷が数箇所あったのを, GimpのG'MICに含まれているRepair/Inpaintというツールで消してある. これけっこう使えそう.

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カストル(ふたご座α): R200SS+TeleVue 3xバーロー, IR/UVカットフィルタ, ASI385MC. ASICapでキャプチャ(gain 80/ss 50ms, 4000コマ); AS!3で50%スタック, Gimpでtone/crop.

月齢11.9の月が天頂近くに昇ってきたので, 欠け際で白く輝くアリスタルコス付近を.

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アリスタルコスとヘロドトス(月齢11.9): R200SS+TeleVue 3xバーロー, IR/UVカットフィルタ, ASI385MC. ASICapでキャプチャ(gain 220/ss 5ms, 4000コマ); AS!3で10%スタック, Gimpでwavelet/tone/sharpen.

TeleVue 3x バーローの倍率? → 実は3.5倍

画像上のピクセル数と焦点距離から二重星の離角が求められる.

atan(P*S*1e-3/F)=(D/3600)*(π/180)

P: 画像上のピクセル

S: センサのピッチ=3.75 (μm/pixel)

F: 光学系の焦点距離(mm)

D: 二重星の離角(arcsec)

シリウスBが本物かどうかの確認のために計算してみたら, R200SSのf=800mmに3倍バーローでf=2400mmとすると離角12.9"となって少しでかい. (最近のシリウスBの離角は10.5"くらい) バーローの倍率が3xより少し大きいかもと思って, 二重星の離角を既知として焦点距離を逆算してみた.

シリウス: D=10.5" → F=2946mm

リゲル: D=9.5" → F=2849mm

カストル: D=6" → F=2578mm

平均 F=2790mm, 標準偏差 5.5%

なるほど. するとバーローの倍率は2790/800=3.488, 約3.5倍ということになる.

ちなみに, TeleVueの製品にはバーローとパワーメイトというのがあって, 後者は高いけどバックフォーカスによってあまり倍率が変わらない設計らしい. バーローはバックフォーカスを伸ばすと倍率が上がる傾向がある.

アイピースだとスリーブの後端付近か内側に焦点面が来るのと比べると, CMOSカメラを取り付ける場合はスリーブの後端より外に焦点面を持ってくるので, 公称値がアイピース使用を前提にしているとすれば, この場合に倍率が高めになることは納得できる.


おわり.