少し前に, お手軽観望または初心者に自分で操作してもらえる架台として, (安価な)経緯台を探していたのだが, そのときにミザールの「K型経緯台」というのが往年の名機だと知った.
そのうちOEM品(?)になってミザールテックが販売するようになり, さらに最近までAstrostreet(イオシステムズ)がそれかその互換品を販売していたらしいが, 今は新品の入手はできない.
あるいは, Vixenの初心者(子ども?)用の50mm〜70mm望遠鏡のスペースアイシリーズの架台が, K型の中国製互換品という噂もある. (確かに形状がそっくり)
○○オクで見ていると, ときどきK型(ホンモノ)やその互換品の中古が出てきて, 以前は7000円前後だったのが最近は1.5万を越えるもの(あれは三脚つきだった)もあり, かなり高く落札されている.
ところが先日, イオシステムズの「互換品」というのが比較的安く出てきて, 他に入札する人がいなかったのでそれを入手できた.
動きは良い感じで, 振動の収まりも良い. と思って振り回してみると天頂に向かない. 鏡筒を載せてない軸そのものが, どこかが当たって真上を向くまで回らないのである.
よく見ると, たぶん本来はぶつからないように設計されているのが鋳造の精度が悪いのか, 切削で仕上げるべきところをサボっているのか, 鏡筒を支える足が軸受の脇の板にぶつかっていた. ヤスリでアルミを1mmちょい削れば良いだけのこと.
このへんは中国製コピー品(設計者の意図を知らず形状だけ真似た)かもと思わせる... たまたまオークションに出たのが不良品だったのかもしれないが...
もうひとつ, 底部の3/8インチ雌ネジの穴は, 8/3→1/4ネジ変換アダプタを入れたときに底面とツライチになるまで入らずに頭が出てしまう. 穴の周囲の面取りが足りないのである. これだとカメラ用三脚に載せた時浮いてしまう. ここを面取りカッターで削った.
実は同じことが, SkyWatcher製のポータブル赤道儀用微動雲台(KenkoスカイメモSも同じ)でもあって, 同様に修正して使っている.
以上の2つの点につき修正をやって使い物になる感じ.
初心者に使いやすいかというと, 垂直軸のクランプがあちこちに引っかかって取手を伸ばす方向を変える必要があったり, 天頂近くに向ける時にアリガタが水平微動ハンドルに当たることがあったりして, その都度ちょっと考えなきゃいけないのがいまひとつ. しかし動きはとてもスムーズでガタや振動も少ない.
なので, 初心者用としてはVixenのポルタ系の方が(クランプとか考えなくて良い)とっつきやすいかもしれないが, 慣れればこちらの方が良さそう.
サイズ感として, MAK127 (3.4kg)を載せたらこんな感じになる.
これより重い鏡筒, たとえば15cmカセグレン(6kg)になると, 上を向けたときのバランスの崩れがひどくなり, クランプを締めても鏡筒を支えられなくなるので無理. 3〜4kgが限度みたい.
ちょっと手がかかったが, 使えるヤツな感じがする.
【了】
追記:
ふと思った. 天頂を向かなかったのは, 微動ハンドルにアリガタや鏡筒が当たって破損しないための「仕様」だったのか...!?
いや, 天体用の架台で天頂向かないのは無いでしょう... ^^;