風来坊@真幸福知

風来坊@真幸福知

始まりは坐禅会のご案内, 思いつくことを何でも書いていたら星空系に... Started with Zazen session info. now almost astrophotos. 시작이 참선회 안내, 이제 별하늘 사진들.

GS-150CCの拡大撮影(バーロー vs アイピース)

今シーズンも明け方に木星土星が見え始めている. 先日始めてGS-150CCで撮影してみたら, 思ったより像が小さかったので撮影方法を悩んでみた. そのメモ.

バーローでもアイピース投影でも, センサからその前のレンズまでの距離を変えると多少拡大率を変えることができる. 昨年はBKP150(15cmF5)に頑張ってもらってアイピース投影法でちょうど良いくらいの大きさになっていた. それと同じくらいのサイズの像をGS-150CC(15cmF12)で得るにはどうすれば良いかということ.

元の光学系がf=750mm→1830mmと長焦点になるので, 2xバーローでもそれなりの像サイズになると期待していたが, 先日の結果は...

f:id:cheonghongsa:20210603234359j:plain

GS-150CC+2xバーローで木星(視直径40")が200pixくらい. 他の惑星のことも考えて300pixくらいは欲しいところ.

以下の方法で撮影サイズのテストをやった. 被写体はいつもの鉄塔.

  • 直焦点 (Prime)
  • バーロー (Barlow)
  • バーロー+1.25"延長筒 (Barlow+ext)
  • バーロー+1.25"延長筒x2 (Barlow+ext2)
  • 15mmアイピースで拡大, アダプタの伸縮を最短に (Eyepiece-short)
  • 15mmアイピースで拡大, アダプタの伸縮を最長に (Eyepiece-long)

結果はこんな感じ.

f:id:cheonghongsa:20210605191205j:plain

(アイピース拡大法だと, 直焦点やバーローの場合と比べて像が逆さになる)

像の大きさをピクセル数で測って拡大率(直焦点を1とする)と合成焦点距離を求めた. (直焦点はf=1830mm; 接続方法は鏡筒付属の延長筒50mm+25mmを使用しフォーカサーの後の状況; ASI=ASI385MCカメラ)

  接続方法 拡大率 合成f(mm)
Prime 2"延長筒60mm/2"-T2/T2延長15mm/ASI 1 1830
Barlow 2"延長筒60mm/バーロー/ASI 2.25 4120
Barlow+ext 2"延長筒60mm/バーロー/1.25"延長/ASI 2.61 4780
Barlow+ext2 2"延長筒60mm/バーロー/1.25"延長x2/ASI 2.93 5360
Eyepiece-short 2"延長筒60mm/2"-T2/T2延長15mm/拡大アダプタ(最短)/ASI(T2接続) 3.03 5540
Eyepiece-long 2"延長筒60mm/2"-T2/T2延長15mm/拡大アダプタ(最長)/ASI(T2接続) 5.03 9200

アイピース拡大の場合, アイピースとセンサの距離A, 主焦点とアイピースの距離B, アイピースの焦点距離Fの間に1/F=1/A+1/Bの関係があり, 拡大率はR=A/Bとなる. これより拡大率Rと, アイピース〜センサ間距離Aの関係はA=F(1+R)となる. また, 拡大率はAとFで表すとR=A/F-1となる.

距離Aというのは拡大撮影用のアダプタ(中にアイピースを入れるやつ)の形状で決まるわけだが, 上のデータから, アダプタの伸縮チューブを縮めた状態と伸ばした状態の, アイピースとセンサの距離は各々60mm, 90mm.

昨年のBKP150で10mmアイピースによる拡大撮影では(アイピース形状による違いを無視すると), 拡大率は5.05〜8.05, 合成焦点距離約3790〜6040mmだったことになる. この長い方と同等の像を得るためにはバーローレンズでは苦しくてやはりアイピース拡大ということになる.

ところで, 口径15cmの分解能(0.8")を活かすには最低どのくらいの拡大, つまり合成焦点距離が必要だろう? ASI385MCのピクセルサイズは3.75μm. 視角(見かけの大きさ)θの対象の焦点距離fの光学系による像サイズaは, a=f tan(θ). 1ピクセルが分解能の0.8"相当となる焦点距離は f=a/tan(θ)=3.75E-3(mm)/tan(0.8"/3600/180*π)=970(mm)となる. 焦点距離1mもあれば, つまり直焦点でも分解能は活かせることになる.

では, 画像のピクセルサイズとして欲しい大きさの像を得るという観点で, 例えば視直径40"の木星を400ピクセルで撮りたいとすると, f=3.75E-3*400/tan(40"/3600/180*π)=7730(mm). やはりアイピース拡大か...

バーローとアイピースでは, 光路長の伸縮による拡大率の変化にも違いがあることに気づく. 上の表で, バーローで1.25"延長筒x2を挿入するとき光路長の延長が55mmで拡大率の増加が2.93/2.25=1.30倍. アイピース拡大の場合, 伸縮可能なアダプタの最短と最長の違いは33mmで拡大率の増加が5.03/3.03=1.67倍. つまりアイピース拡大の方が拡大率を容易に広範囲で変えることができる.

バーローの場合の拡大率をかせぐために延長筒の後ろにT2-1.25"変換アダプタ(光路長39mm)を入れてもう少し伸ばすことも考えた. 拡大率を3以下から4くらいの範囲で変えられると導入もしやすく適度な拡大率も得られると期待したが, 上のデータから線形補間でざっと推算すると延長筒なしの拡大率が3.26倍, 延長筒x2を入れて3.41倍の見込み. 結局アイピースの場合と比べてメリットはない. やっぱりアイピース拡大の方が使いやすいか...

お悩み終了 :D

追記: バーローにもう少し頑張ってもらう

アイピース拡大とバーローを比べると, バーローはバックフォーカス伸縮による拡大率調整幅が小さい一方, フォーカス調整が楽だし, たぶん突き詰めれば像の質は良いのかもしれない. それで, 笠井の2"EDバーロー付属のアダプタ(でかくて重い)を別の筒に変えて長さ調整する方向でもう少し頑張ってみた.

2.5〜3.5倍くらいで調整できそうな感じになった.

  接続方法 拡大率 合成f(mm)
Barlow-alt1 2"延長筒60mm/バーロー本体/2"-T2アダプタ/T2延長15mm/T2-1.25"アダプタ/ASI 2.08 3810
Barlow-alt2 2"延長筒60mm/バーロー本体/2"-T2アダプタ/T2延長40mm/T2-1.25"アダプタ/ASI 2.46 4500
Barlow-alt3 2"延長筒60mm/2"-T2アダプタ/T2延長40mm/T2-1.25"アダプタ/1.25"延長72mm/ASI 3.24 5930
Barlow-alt4 2"延長筒60mm/2"-T2アダプタ/T2延長40mm/T2-1.25"アダプタ/1.25"延長100mm/ASI 3.60 6590

Barlow-alt2とBarlow-alt3がこんな感じ.

f:id:cheonghongsa:20210619102124j:plain

f:id:cheonghongsa:20210619102141j:plain

Barlow-alt1はBarlow-alt2からT2延長筒(ねじ込み)を25mm外すので, 現場で組み換えは面倒だが, alt2〜alt4はASIカメラ直前の1.25"延長筒を追加するだけなので簡単. alt2(拡大率2.46)で導入してalt4(拡大率3.60)までの間で像のサイズにより調整するのはできそう.

(昼間の風景の)シーイングの良い曇りの日にとった「110鉄塔」がこんな感じ.

f:id:cheonghongsa:20210619104731j:plain

使えそうかも.

【了】