JBPressに興味深い記事があった.
この中で韓国で日本との関係を冷静に調査して出版し袋叩きにあってきた専門家たちのことが紹介されている.
- ソウル大名誉教授 李栄薫(イ ヨンフン)氏 「解放前後史の再認識」(2006),「大韓民国の物語 韓国の『国史』教科書を書き換えよ」(2007)
- 作家 金完燮(キム ワンソプ)氏 「『親日派』のための弁明」
- 世宗大教授 朴裕河(パク ユハ)氏 「帝国の慰安婦」
これらの著書は, 「民族主義 & 恨日=正義」という風潮がまかり通る韓国社会の中で, 著者各位が真理と正義のために体を張って公にされたもので, 日本人としては尊敬の念を持って拝読するに値するものではないかと思う. (まだ読んでなくてすみません)
私は, 日本が朝鮮半島を支配した時代, 日本のやった最大の誤ちは宗教政策であったと思っている. 教育や農業, 経済発展のためにしたことは韓国の近代化の礎となったのは否定しようのない功績だと思うが, 天皇陛下を神として拝することを外国人にまで課し, 従わない者には時に非人道的な弾圧を加えた事実, またその恨みは厳然として残っている. 何を拝するかという自尊心の深みにまで踏み込んで「民族の同化」ができると考えた(?)ことがそもそもの愚かさであり, 残虐性の発露の原因でもあったのではないかと思う.
例え功罪を平均して功が勝ったとしても, 深く刻まれた恨みは解かれない限り残り続けて後孫に祟る.
戦後70年を越え, 日本は国交正常化の際の協定と経済援助の後, 多方面での協力, 慰安婦問題(90年代以降)への政府・民間による複数回の対応, 民間の諸団体による交流などを通じて, 恨みを解くことに力を注いだ. どれも, 隣人への謝罪と和解を願う意識なしにはできなかったことだと思う.
朴槿恵大統領が当初「告げ口外交」と揶揄されたように外国で慰安婦問題を宣伝してまわった意図が何だったのか未だに分からないが, 2015年末に日韓外相間でTVの前で合意を発表し, この問題の最終的決着をつけたのはひとつの功績だと思う.
その年の秋に, 依頼されてソウル西大門の独立記念公園にある殉国烈士の位牌を祀るヒョンチュンサ(현충사 顕忠舎?)の慰霊祭で読経・祈祷したことがあり, それから間もなかったのでとても印象深い出来事だった. (その建物は拡張され今は「独立館」となっている) あれで新しい雰囲気になるかと思いきや朴槿恵氏のスキャンダルによる失脚.
韓国社会はひとつではなく, 今かつぎだされている文在寅政権は極左反日反米民族主義で, しかも政府各方面のトップを次々と仲間内の人間にすげかえ, 国家を機能不全に陥れているように見える. 大統領自身が日本に対していちいち否定的な発言を繰り返すのは支持者を意識してのことか, それともご本人の考えなのか分からない(本当に確信犯なのかバカなのか分からない)が, ここまでくると付き合いきれないというのがたいていの韓国好きの日本人の本音ではないかと思う.
私は2018年春に4年半働いた韓国を離れる時, あちこちで歓送して下さった韓国の皆さんに, 「私はこれ以上韓国に謝罪する気持ちはない. むしろ, 赦して下さいと要求することにする.」と言い, それでケンカにはならなかった. 気持ちは伝わったと思う.
目を三角にして日帝時代の...と攻める人たちは韓国の多数ではない(と思う). すでに日韓の間にはこんなにひどい状況でも(比較的)びくともしない深い友好の情が結ばれているんだから, このやっかいな政権を何とかして関係を正常化しようという話をすべきである.
文在寅政権の出現は, 韓国の中で行われてきた民族感情至上主義的でややファンタジーな歴史教育が現世代の世界認識に歪を与えた結果ではないかと思う. それで, 今や韓国という国家自体を危機にさらしている.
日本は, 韓国の中で冷静に歴史と世界の状況を認識できる人たちと協力して日韓米台という東アジアの自由民主主義圏の安定に貢献することが必要であり, その意味でもこの記事に紹介されている著書は重要かも, と思ったりする.