風来坊@真幸福知

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始まりは坐禅会のご案内, 思いつくことを何でも書いていたら星空系に... Started with Zazen session info. now almost astrophotos. 시작이 참선회 안내, 이제 별하늘 사진들.

魚谷氏(UPF日本事務総長)の著書: 間違いだらけの「マインド・コントロール」論

安倍元首相の暗殺事件からの成り行きを見ながら, 結局の所日本は江戸時代と変わらない〜江戸初期に数十万いたキリスト教徒を苛烈な迫害によって弾圧し潜伏する以外に信仰する道を奪った〜宗教の本質への無理解と弾圧体質をもつ国家なのかと幻滅を感じてきた.

報道機関の宗教に対する浅薄で稚拙な態度, あるいは意図して戦略的に迫害を推進する(かのように見える)姿勢にも絶望を感じる. マスコミを牛耳ることに成功した彼らの攻勢に, 負けている.

十年以上見ることのなかった「マインド・コントロール」「霊感商法」などという「俗語」が再び流布した. こんな言葉を使って何かを批判なり断罪しようとする物書きのいったい何を信用できるというのだろう? これらの言葉こそ, その文書の低俗さを証明している. と, 分かる人も少ないのだろうか?

「旧統一教会=悪の団体」と主張し, 社会から抹殺しようとする彼らがあちこちで連発する「マインド・コントロール」という用語・概念がいかに根拠のない, 恣意的に特定の相手を貶めるためだけのレッテルであるかは, すでに1980年代の専門家による調査研究で学問的には決着しているという. 彼らはそれを知りながら, 「言葉の洪水」によって世の人々を操作しようとしている. 「ウソも100回言えばホントになる」ということか....

とぼやくだけではアカンなぁ....と感じていた時に, 個人的に知り合いでもあるUPFの魚谷氏による渾身の著書が発刊された.

発刊の知らせをもらって読んでみた. 

まとめると, 何がおこってるのかよく整理され, 「本物の専門家」の見解を読みやすくしてくれたという感じ.

冒頭では「新法」(法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律)の問題点と, 表紙にもある通りこの問題で専門家・オピニオンリーダーであるかのように幅を利かせている紀藤弁護士の欺瞞を暴いている. 関係する裁判の判例などが引用され, 今世の中を押し流している勢力がいかに欺瞞に満ちた主張をしているか, 実際に何が起こっているかが整理されている. 「拉致監禁による強制改宗」によって「つくられた被害者」に訴訟を起こさせ, あたかも重大な社会問題であるかのように見せているという実態.

そして後半は, アイリーン・バーカー博士というイギリスの宗教社会学者の優れた研究(ほんとにすごいと思った)を要約してくれている. これは主に70年代のイギリスとアメリカで文鮮明師による統一運動が若者を惹きつけて一部で社会問題化されていた状況について, それが「洗脳」(マインド・コントロールとほぼ同意)なのか「自発的な選択」なのかを当事者に対する直接の調査と統計的考察によって判定したものだ. 単なる意見ではなく, 社会現象として客観的に分析されたものとして唯一無二の研究かもしれない.

「社会問題」というのは, 統一運動に加わった若者を強制的に拉致監禁して改宗させる行為が行われ, その根拠として信者は自分の選択ではなく「洗脳」されたのだから強制的手段によってでも「救出」するのは正当だという主張があったのである. これは欧米では既にバーカー氏の研究もあり正当性は完全に否定され, 強制改宗の蛮行は絶えている. しかし日本では2000年代になるまで同様な(あるいはさらに周到な)拉致監禁による強制改宗が警察による取締も受けずに放置されてきたのである.

バーカー氏の論文は, 専門的な詳細は難しくて読む気がしないだろうから, 要約がこういう形で出版されたのはとても価値があることと感じた.

欧米で統一運動に参加するようになった人々がどういう背景を持ち, 最初のコンタクトからフルタイムメンバーになるまでにどういう経過をだどり, 何%が実際にメンバーになったのか, 教会側がセミナーなどで与える情報や個人的特性がどの程度寄与して加入する判断をしたのか, などが明らかにされ, 何故「洗脳」という概念がまかり通るのかなどが考察されている. 

 

魚谷氏は長年にわたって個人のブログでこの問題を含む広範なトピックについて膨大な文書を書かれていて, バーカー氏の論文の全訳も発表されている.

NGOの超多忙なお仕事で飛び回っておられると承知していたが, このタイミングで本を著してこの問題に切り込んでくださったことに心から敬意を表したい.

多くの人にこの本を読んでいただければと思う.

宗教, とくに新宗教に対する社会にあふれる不当な言説によって形成された漠然とした嫌悪感や偏見を払拭し, 問題の本質の理解に多少でも役立つことを祈る.

 

PS 太り気味に見えるが無理してお体をこわされないように祈る. 薬師如来のご加護を!

【祈】