6月末に梅雨が開けたと思ったが, このところずっと曇りや雨続き. 7月下旬までこんなかんじらしい.
(Yahoo天気のスクリーンショット)
晴天の霹靂のように日本の稀代の政治家が凶弾によって急逝された事件から3日が過ぎた. 改めて, 3代にわたってこの国を愛し, 戦後の日本を立て直すために尽力してくださった安倍元首相に心からの感謝と哀悼の意を表し, ご冥福をお祈りする.
犯人となった40代男性は元海上自衛官で, 若い頃に母親が宗教団体に多額の献金をして家庭が経済的に破綻したことを怨んで団体の幹部に対して殺意をいだき, こともあろうにその鉾尖を, 団体とつながりがあると思い込んだ安倍元首相に向けたと報道されている. 警察等は団体名を公開していないがその団体を世界平和統一家庭連合(略称: 家庭連合)だと報道したメディアもあり, そういう状況をうけて昨日, 同団体の田中会長らによる記者会見があった.
犯人本人は家庭連合に所属したことはなく, 母親は同団体の信者であることが明らかにされた. また, 母親は90年代から参加していたが2009年頃から10年近く疎遠になっていたこと, この数年間は再び行事等にときどき参加するようになっているとのことだった. 安倍元首相は同団体に直接関わっていたのではなく, 友好団体の立場にあるUPFなどが展開する平和運動に賛意を示し, 他国の首脳らとともにメッセージを寄せたりしていた.
ネットでは反共・保守系政治家や団体に対する反対勢力の声が大きく(現実世界の人数には必ずしも比例しない), 顔の見えない匿名の書き込みではひどい言葉もたくさん見かける. 新宗教も, また安倍さんのように実力がある政治家も, 悪口をたくさん言われるという点では似ているかもしれない. また, 実力ある政治家を貶めるために「評判」の悪い宗教団体との関連を示唆するような悪意の宣伝も多く見かける. 一部には, そういう無法状態のネット情報がつくる風潮が今回のテロ行為の背景にあるのではという意見も見かける.
(追記: こういう記事もあった→安倍元首相銃撃事件の一因は、「リベラル」が展開した異常すぎる言論空間にもある（朝香 豊）)
上述のUPFには私も長年研究者・宗教者として関わっている. 創設者である文鮮明・韓鶴子氏の基本的な思想はOne Family under God: 人類の共通の親である神・創造主(名前はなんでもよい, 全ての宗教がそこに端を発しているはずの根本的存在)の愛に立ち返って私たちが兄弟姉妹であると認識するところから平和を創ること, だと理解している.
犯人の動機の根本が宗教団体への恨みだったということが本当だとすれば, 愛のための活動のはずが, 国家要人の殺害に至るほどの恨みという恐ろしい副産物を産んでしまったことになる. この歴史に刻まれてしまった鉛のように重いシコリは私個人の心の内にも今後ずっと居すわるだろう.
一方で, 動機と行動の間にあまりに飛躍があることへの疑問も指摘されていて, 自衛隊除隊後の空白期間の遍歴なども捜査の中で明らかになればと思う. もしかしたら, コロナ禍での孤立が社会の「陰」, 心の「闇」の侵食を広げてしまっているという側面もあるかも知れない.
「愛」と「恨み」は往々にして表と裏のように絡み合う. 「恨み」は(はらすのではなく)解かれる必要がある. それで歴史は清算され未来が拓かれる, はずだ.
しばらく続きそうな全国的な曇天は, 日本列島が喪に服しているのだろうか? と, ふと思った.
【祈】
