風来坊@真幸福知

風来坊@真幸福知

始まりは坐禅会のご案内, 思いつくことを何でも書いていたら星空系に... Started with Zazen session info. now almost astrophotos. 시작이 참선회 안내, 이제 별하늘 사진들.

スタックのときのプリプロセスを詰める: Sirilでdark, flatどうする?

前の記事の続き.
FacebookのBudget Astrophotographyグループでもらったコメントを参考にしてSiril(Linuxで使えるフリーのスタックソフト)のレシピを試行錯誤して詰めてみて, 手間と結果のクオリティを考慮してマイ・ベスト・レシピ♪♫をこのように決めた.
ちなみに, 時間がなくてdark撮影ができなかったときなどは前回のdarkをサボる方法が有効.(XTransセンサのデータの場合だけ有効?)
なお, 使用したSirilはver. 0.9.8 (ちょっと古い. 今1.0リリースに向けて新しい版はいろいろ機能が追加されているかも)

dark, flatの準備(FITSデータとして)

dark: RAWファイルを"demosaic"(現像)しないで読み込む(FITS形式に変換), "Median & No normalization"でスタック.
flat: RAWファイルを"demosaic"して読み込む. "Median & Multiplicative normalization"でスタック. (光学系の周辺減光の補正だけ考えている. 色転びなどを補正するにはdemosaic前のデータでflat補正が必要かも)

Fujifilm XTransセンサモデルのRAWデータ(*.RAF)の処理

1. RAWファイルを"demosaic"しないで読み込む.
2. darkを使って前処理 ("Dark optimization"と"Enable cosmetic correction"のチェックを外す. "cosmetic..."をやるとXTransのデータは補完が変になってノイズができるらしい.)
3. dark前処理済みのFITSファイルを, "demosaic"して読み込む.
このとき, File/Settingsの設定は以下のように:
- Matrix interpolation: "AHD" ("VND")
- "Bayer pattern from file's header..."にチェック
- "Ensure KSTAR/..."のチェックを外す
4. flatを使って前処理
5. "register"(アラインメント), スタック!
6. スタックの結果をPNGやTIFに出力し, RawTherapeeやGimpで補正
 
この方法だと前処理なしの場合と比べて暗い画像ができるらしいが, RawTherapeeの"Exposure"で明るくして処理できる. 前処理しない場合と比べてコントラストやトーンカーブによる強調をもっと強くしても大丈夫なので, 結果的に星雲の細部などは良く出る.

ZWO ASI385の"RAW16"データ(*.fit)の処理

ASIカメラはRAW8(PNG出力)とRAW16(FITS出力)が選択できるが, 微妙なトーンを出すにはデータを最大限に活かすRAW16が良いはず. だがこのFITSはASIのFITSViewでしかちゃんと見られなかったりする. Sirilでdemosaicのときにどういう設定をすればちゃんと色が出るか...ということ.
処理の手順は基本的に上と同じ. 違うところは以下の通り.
- darkによる前処理: "Enable cosmetic corrections"が使える. このとき"CFA"にチェック.
- File/Settingsの設定
"Other debayer "で, "Bayer pattern from file's header..."と"Ensure KSTAR/..."にチェック, または, これらのチェックを外してパターンに"GBRG", 補完法に"VNG"または"AHD"を選択.

結果は?

まず, 前回のM45の画像を上の方法で処理してみた. メローペの拡大画像を比較すると...
前回の方法(flatだけ補正) 今回の方法
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ということで, 以前のようにdark補正したら黒いポチポチができるということはなく, darkによる補正がちゃんと効いている. コントラストをもっと上げて強調しているが, ザラザラ感は同じくらい.
先日撮ったものを処理してみたら...

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すばる(M45): Evostar 72ED+0.8x reducer, Fuji X-E2 ISO1600 29x280s. 途中で破裂した流星が写っていたコマがあったので, pix.maxでスタックしてその部分を切り取って合成した. (左側の真ん中少し下)

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Markarianの鎖(おとめ座銀河団): Evostar 72ED+0.8x reducer, Fuji X-E2 ISO1600 11x280s.

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ソンブレロ銀河(M104): R200SS, ASI385MC, gain 300 expo. 7x100s.

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ニードル銀河(NGC4565)構図がずれてた失敗作TT: R200SS, ASI385MC, gain 300 expo. 10x100s.

春の銀河まつりはR200SSの補正レンズ無し直焦点ASIカメラが良さそう. 暗黒帯のウニョウニョが, 以前15cmでX-E2で撮ったのと比べてかなり分解できている.