風来坊@真幸福知

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スタックのときのプリプロセスとノイズ: dark/offsetをサボれる!?

FujifilmのXTransセンサーが載ってるX-E2で天体写真を撮る場合, dark/offsetを差し引くプリプロセスはさぼった方がいいんじゃない?という話.

【注意: その後dark処理をちゃんとやる方法が分かりました=>後編へ

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すばる(M45): Evostar 72ED, Kasai 0.8x reducer, Sightron LPR-N filter, X-E2 ISO1600, 29x280s; stack by Siril, level/tone by RawTherapee.

天体写真の画像処理(カラーCMOSで一発撮りで済ませるお手軽版の場合)に普通は

  • light frame: 天体が写ってるコマ
  • dark frame: 同じ設定(ISOとか)同じ温度でキャップをして撮った真っ暗なコマ(長時間露出に関係して出るノイズ)
  • offset (bias) frame: 同じ設定(ISOとか)同じ温度でキャップをして最短のシャッター速度(1/4000s)で撮った真っ暗なコマ(長時間露出に無関係なノイズ)
  • flat frame: 均質光源で同じ光学系で撮った灰色のコマに, gaussianフィルタをかけて局部的なノイズを除去したもの(周辺減光などムラの補正用)

の4種類を使う. Linuxで使えるオープンソースの天体画像のスタックツールSirilでは, まずlight frameのRAW画像をdebayer処理(現像)してFITS形式に変換し, dark, offset, flatを使ってpreprocess(前処理)をする. その後register(アラインメント), stackという順番. それから普通の画像(写真)処理ツールで明るさやコントラストや色調を整える.

今まで基本的にこの処理をしていたのだが, 淡い星雲などを強調するためにトーンカーブを急峻にすると... 所々に黒い筋状のノイズが現れてくる. 以下は上の写真のメローペの周辺を拡大したもの.

(offset+dark+flatで前処理したもの↓) 

f:id:cheonghongsa:20210312233148j:plain

左下と右上に黒いキズが見える.

もしかしたら... と思い, offsetとdarkによる前処理をサボってみたら...

(flatのみ↓)

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黒い筋状のキズが無い! これがいちばん上の写真. (星雲の筋状の構造の解像度が良くなっているように見えるのは, wavelet denoiseをしてないからかも)

offsetとdarkをそれぞれ一方だけ使ってみると...

(offset+flat↓)

f:id:cheonghongsa:20210312233100j:plain

(dark+flat↓)

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とくにoffsetを使った方に, 黒いキズが出ている. ホットピクセル(勝手に白くなるピクセル?)の補正で真っ黒になっているところが問題なのかもしれない.

後処理で真っ黒なピクセルを周囲の平均値で埋めれば良いのかもしれないが, dark/offset処理なしで上のように比較的きれいにできるのならばサボったほうが良いのかも.

ちなみに, offsetとdarkのコマのlevelを調整して明るくしたものから, 上のメローペ周辺と同じ場所を切り出したものは以下のような感じ. (level調整前はほぼ真っ黒)

offset dark

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やはり, offsetの左下隅に, 上の写真で目立つ黒いキズに対応する場所に白い点が見られる. これがガイドのずれで星との相対位置が多少ずれることで筋状になっているのだろう.

XTransセンサは普通のbayerと違ってRGBの配列が特殊なのでノイズがならされて消えやすいという話を聞く. 普通のbayerセンサだと事情は違うのかも.

今後はdark/offsetをサボることにする♪♫

dark撮影は1コマあたりの時間がlightと同じだけかかるので結構なロスタイムになるしこれは良いことかも.

追記

FacebookのBudget Astrophotographyグループでこの件を尋ねてみたら, Sirilのpreprocessについていろいろコメントが得られて, もういちどSirilのTutorialをまじめに読んでみた.

どうもdarkとoffsetの使い方が間違ってたらしい. darkをスタックするときにoffsetを差し引く前処理をしない場合は, darkにoffset分も含まれているわけでlightからdarkとoffsetを引くとoffsetを2倍引いたことになる. だから主にoffsetに対応するノイズが出てしまうのは理解できた.

それから, 今までFuji X-E2のRAW画像(*.RAF)をSirilで読む時にすぐにdemosaic(現像)して, その後で前処理していたのだが, darkによる前処理はdemosaicの前にすべきだった. つまりdarkやflatもdemosaicせずにCFA(color filter array)のモノクロ画像のままで作成しておき, lightをCFAのまま前処理して, その後でdemosaicするのが正しい(色の補完処理でボケる前にやるということ).

ところが, FujiのXTransセンサの画像の場合, demosaicの方法が特殊らしく, CFAのままで前処理した後でdemosaicしようとしたときにうまく行かない. それで, 結局, 上でやったようにlightをdemosaicしてからflat(これもdemosaic済みの画像をスタックし. さらに滑らかにしたもの)による前処理をしてスタック, というのが手軽さと画質の兼ね合いがちょうど良さそうな気がする.

XTransセンサの画像の場合, それからASIカメラの画像の場合のそれぞれについて最適(手軽さ vs 画質)レシピを....

本日はここまで.  ・・・・・=>つづく