天体写真のガイド撮影で, (今時のオートガイド装置じゃなく)人間がガイドスコープを覗いて星の動きと赤道儀の回転のズレを監視して補正するためには, 十字線入りのアイピースが必要なので, いつだったか安い10mmアイピースに十字線を張った. アイピースに入れた十字線は暗い視野では見えないので, 何かで照らす必要がある.
照らす方法は2つあり, 対物レンズから光を入れて背景を明るくして十字線を黒く見せるのを明視野照明, アイピースの中に光源を仕込んで十字線を夜空の暗い背景に明るく浮かび上がらせるのを暗視野照明という.
明視野の方は装置は簡単(対物レンズの前に明かりを吊るすだけ)だけど視野を明るくしてしまうので暗い星は見にくくなる. 暗視野の方はちょっと込み入った工作が要るが, 暗い星もガイド星として使える.
ちなみに, 何もなくても裏ワザとして, ガイド星をピンぼけにしてそれ自体を明視野照明のように使うという方法もある(今までこれで済ませていた). これもピンぼけにしても使えるくらい明るい星に限定されるので, 暗い星が使えないのは通常の明視野照明と同じ.
さて, BKP150の直焦点撮影が案外簡単にできることが分かったのでこのために暗視野照明が欲しくなり, 自作した.
昔は電球の光をアイピースに導入するためにややこしい造りが必要だったかも知れないが, 今はアイピースのサイズが昔のドイツ規格 (Φ24.5mm) よりでかいアメリカ規格 (Φ1.25inch=31.7mm) だし, 小さいLEDなら余裕で入れられるので自作するのもわりと簡単.
マルツオンラインで電子部品を調達. LEDの調光回路キットが数百円で売られているのでこれを使うことにした. キットに含まれたΦ5mmのLEDはちょっとでかいので小さいのを追加, それからLR44電池用の電池ケースとスイッチも. ケースは, 手元にあったゼムクリップのプラスチックケースがちょうど良い感じなので利用.
材料:
- LK-CB1 LED調光・点滅キット: 基板のジャンパ線のつなぎ方で動作モードを点滅か調光か選択するようになっていて, 調光モードで使用. 基板上の可変抵抗で明るさが調整できる. 760円
- L-2060SRD: Φ1.8mmレンズつき赤LED 50円
- BC1/3N: LR44x2個用電池ケース 307円
- 8SS1011-Z: 小型スライドスイッチ 270円
- その他, 適当なプラスチックケース, リード線など
ちなみに, アイピースは以前作った十字線アイピースのひとつだが, Amazon.co.jpで売っているSVBONYブランドのNPL 10mm. 3本セット4000円弱で売ってるやつ(要するに廉価版タイプ)の1つで, スリーブ以外がプラスチックなのでLEDを仕込むための孔加工などもやりやすい. 廉価版なので像はそれなり, 惜しくもないというのも重要(笑).
そして...
できました :-)
電池の下の白いのが明るさ調整用の可変抵抗. 基板のスイッチと並列にビス止めできるスイッチを繋いで外から操作できるように切り込みから出してある.
ちなみに, ケース内の基盤の固定やアイピースへのLED取付けなどは100円ショップのグルーガン(ポリエチレンを溶かして使うやつ)を使用. プラスチック部品が多い場合はなじみが良いかも. リード線の端などポキっと行きそうな不安のあるところはポリエチレンのパテ塗り状態で固めてしまう. 結局ビス止めスイッチも2mmビスが手元に無かったのでグルーガンでやっつける荒ワザ(笑)
アイピースの内側はこんな感じ. 最近普及しているらしいNPLタイプ(New Ploessel)のアイピースは焦点面が内側のレンズの前にあるので十字線を張るのも照明もレンズ自体は分解せずその前にくっつけるだけなので簡単.
使うときはこんな感じ. 鏡筒はSky Walker SW-II. 天頂プリズム(廉価版天頂鏡)の横っちょにマジックテープで着脱できるようにしとけば取り回しが便利.
実際に星と同時に見て明るさを調整した感じ. なかなか良いかも♪
今後はBKP150直焦点の沼へはまって行くのか...(笑)