産経の記事(2023/10/12 21:34): 「「内閣が飛んでしまう」 解散命令請求に動いた文化庁、調査には限界も」
一部引用すると...
当初、請求や質問権行使に消極的だった文化庁だが、政権の行方すら左右しかねない問題に発展したことで、重い腰を上げざるを得なかった。ただ、宗教法人審議会の内部では、請求ありきの進め方に異論もあったとされ、文化庁側は「内閣が飛んでしまう」と訴えて合意形成を図った。
宗教界から選出されたある委員は、文化庁の調査が大詰めに入った今年9月、「今でも政府見解の変更には納得していない」と周囲に漏らした。一夜でひっくり返った法解釈に、宗教界は「信教の自由」への影響を憂慮した。それでも文化庁は審議会で「(教団に何もしなければ)内閣が飛んでしまう」と呼びかけ、請求の前提となる質問権行使の正当性を訴えた。
文化庁側は合意形成に向けて、審議会の委員に地道な説明も続けた。質問権行使には審議会の了承が必要だが、場合によっては、審議会開催前に文化庁の担当者が委員の自宅などを訪問。詳細な資料を使って今後の質問内容などを説明。一方で、説明資料はすべて担当者が回収、秘密主義を徹底した。
どこかの政治ドラマに出てきそうなシーンである(笑)
「内閣が飛ぶ」確かに, 国外情勢が平穏ではない今, 自民党内閣がつぶれたら外交・安全保障的にも危ないことになり得るから, 内閣を擁護することに意味がないわけじゃない. しかし, 宗教の専門家たちが当然重要視する「信教の自由」という民主主義の根本を曲げなければならないほどの「大義」が, この件についての岸田首相の発言にあるのだろうか?
官僚の過剰忖度か, それとも官邸から実際に圧力があったのか??
やはり, わが耳を疑った2022/8/31の岸田氏の「断絶」発言(その意味を彼が本当に理解して発したのかはとても怪しいと思う)は政府の動きに決定的な影響を与えていたということらしい.
先日の富山での公開シンポジウムでの金沢大の仲正教授のお話で, こういう政治絡みの案件, 宗教を専門とする委員たちはあまり関心がなく面倒と思っている. 本来の文化的な活動をしたいから, こんなのはさっさと済ませたい. それを役人が自宅まで来て説得されるような面倒が続けば, 賛成と言って片付けるだろう. というようなことをおっしゃっていた.
そういう状況がこの産経の記事で曝されたということかも.
それにしても産経新聞, こういう文化庁のやり方の「疑惑」となり得る情報を, 審議会の結論が出てしまったあとの12日夜になって記事にしている. 審議会の秘匿によってそれまで情報が出なかったのか, 産経が情報をつかんでいたのに審議会に影響を与えることをビビって出さなかったのか?
いずれにせよ, すんでしまったことだ.
文化庁が「信教の自由」と「政治的かけひき」を天秤にかけて後者をとり, 専門家に圧力をかけたという汚点の記録として.
【祈】