カトリック系のアジアのニュース媒体Union of Catholic Asian News (UCAN)の記事:
"安倍氏殺害からの日本の魔女狩り" by Cristian Martini Grimaldi, 8/16
カトリック系のメディアが今の日本の状況をみて「魔女狩り」と呼んでいる.
カトリックといえば中世に魔女狩りした方でもあり, また一方で宣教地では殉教者をたくさん出した方でもある. それだけにそういう風潮には敏感なのかもしれない.
今の日本のマスコミの一方的で過熱した状態にまさに「魔女狩り」の匂いを察知し, 基本的な信教の自由への脅威として警告している. 末尾に, この国がもつ江戸時代のキリスト教弾圧の歴史にも触れている. つまりそれと同じモノが今の風潮から見て取れるということだろう.
また, 国内で保守系の論客のみなさんが訴えるように, その「狂乱」によって日本に対する真の脅威が国民から隠されているという観点もとても重要.
UCANから許可をいただいたので以下に記事の和訳を記す.
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本当の暗殺者は視野の外, 大衆は統一教会が元凶だと信じ込まされている.
日本の新聞は読まないがたまたま最近の記事を目にしたという人は, 日本の政府が不思議な宗教団体の操り人形であるかのように思うだろう.
よく知られており深い根を持つ文化的現象である「新宗教」について, 数十年の間メディアは分析する気もなかった. 今になって全メディアが注目し, その圧力によって政治家たちが次々と彼らのこれらの団体との隠れた関係や表立った関係を告白するほどだ.
統一教会との直接の関係となればマシな方だ.
首相補佐官の寺田稔氏は2018年に教会関連団体のイベント参加費として2万円を支払ったと新聞に書かれた. 当時は関連団体と知らなかったとのことだ.
ここに犯罪を見つけることはできないが, 寺田氏は, 恐らく助言者か弁護士に言われて, 当該団体の他の行事に参加したり献金や選挙応援を受けたことはないと述べている.
新聞はこの「ニュース」をあたかも重罪のように書いているが, これらの団体から献金を受けることが違法ではないという事実は抜けている.
林芳正外務大臣は, 統一教会と関係の濃い世界日報紙のインタビューを2012年に受けたことを謝罪しなければならなかった. さらにグループから献金や選挙応援を受けたことはないと釈明しなければならなかった. 違法か? そうではない.
西村明宏環境大臣も「以前出席したイベントに教会が関わっていることを知らなかった」と罪状を告白しなければならなかった.
加藤勝信厚生労働大臣と山際大志朗経済再生担当大臣は教会関連団体に会費を支払ったことを認めた. これも違法なのか? ちがう.
教会のメンバーが選挙応援のボランティアとして奉仕したという事実も, 公式謝罪に値する「緋文字(罪状を示す印の意)」になった. これにしても, 何故そうなのかは誰も説明しない.
安倍氏の暗殺から1ヶ月後, 日本のメディアが議員たち, 特に与党議員たちについて調査するにしたがい, 日本の内閣が再構成されつつある. 仮に犯罪があったとしても以前は誰も考えなかったことが起こっているのである.
統一教会の声明によると, 教会のメンバーたちはそれらの活動を一市民として自発的に行なっているのである.
ここしばらくの間で, 少なくとも2名に関わる性的スキャンダルもこれほどメディアを惹きつけていない. これは病的なほどのアンチ宗教感情と言えないだろうか?
性的な犯罪に対しては矮小化(あるいは隠蔽)し, 外来宗教についてはどんな小さな不品行も見逃さないような風潮を感じるのは何故だろう? 安倍氏の死のためだけだろうか?
この国の250年にわたるキリスト教禁制の歴史を見れば, ヒントが得られるだろうか? つまり, 宣教師たちは仏教僧侶たちの酷い小児性愛の実情を懸命に止めようとしたのだ.
このようなできごとは反「カルト」感情によるものではないか? これは, 反宗教の臭いがするし, メディアがその主役を担っているのだ.
英文紙は統一教会「スキャンダル」を成層圏まで吹き上げようと, 教会が献身的な信者を獲得するためにこんな方法を使うと述べる:「戸別訪問」「メンバーの親戚縁者に接触」「駅前での声かけ」.
これはまさに, 全ての宗教は怪しいと述べているのと同じだ. 実際, 同じ戦術をエホバの証人は世界で行うし, (日本でさえも)尊敬され崇められるフランシスコ・ザビエルが来日した当時もそうだった.
メディアは「信者」を得るために権利もなく日本の全世帯の戸を叩くNHKの戦術を調べたのか?
とんでもないのは, 一般大衆がこのような話術に流されて統一教会が安倍氏の暗殺の元凶であるかのように信じることだ.
本当の暗殺者は既に視野の外である. 多くの人びとが「母親がカルトに騙されて献金した」のだから「彼なりの理由がある」「当然の報復」だと, 彼の行動を正当化さえしている.
ある人々は, 宗教的献金となると自由意志というものはあり得ないと思い込まされている. 洗脳されているからお金を出すのだ, その関係者が復讐しようとするならその権利があるのだと. このような恐ろしい論理が根底に流れているのだ.
宗教団体に関連するとされた人々に対する「魔女狩り」がここまでくると, 全ての宗教の信仰者たちはなんらかの損失を被ると気づくべきだ.
献金が信仰によって行われるのか威圧によって行われるのかは, 誰が判断するのか? もしも政府やメディアがその権威をもつというなら, 我々すべてが警戒しなければならない.
信教の自由は憲法に記される. かつてカトリックが伝来した時どうなったか思い出そう. 最初は歓迎され, 布教が進むと外国の脅威だ, 世を乱す, 無知で貧しい者たちを洗脳して神がいるという幻想を抱かせていると思われて...その後どうなったか.
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この国の人々が目覚めることを祈る.
【祈】