風来坊@真幸福知

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始まりは坐禅会のご案内, 思いつくことを何でも書いていたら星空系に... Started with Zazen session info. now almost astrophotos. 시작이 참선회 안내, 이제 별하늘 사진들.

兵士・庶民の戦争資料館, 無窮花堂

2017年の釜山での311慰霊祭で出会ってから, 近いうちに行きますと言いつつなかなか機会を得なかった訪問を, やっと果たすことができた.

福岡県鞍手郡小竹町にある「兵士・庶民の戦争資料館」は, 旧ソ連国境やビルマで従軍された故武富登巳男氏(1917-2002)によって1979年に開設され家族によって運営される資料館で, 兵士やその家族から寄贈された遺品等によって戦争の現実を語り継ぐことを趣旨として無料で公開されている.

登巳男氏の奥様の智子さんを経て現在は息子の慈海さんが館長を勤められる.

資料館は入館無料, 水・木曜休館, 訪問は事前予約が必要とのこと.

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展示の冒頭に登巳男氏の写真がある. お父様ですか?と尋ねると, 登巳男氏の人生, そして数々の遺品にまつわるお話が始まった.

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千人針は千人の女性が赤い糸でひと針ずつ縫って結び玉を作ったもので, 出征する兵士に持たせてお守りとしたとのこと. 北方ではお腹を冷やさないように腹巻きに使ったそうで, 南方ではすぐに虫が付いたりして長持ちはしなかったらしい. それで現物が残っているものは希少だそうだ.

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鉄帽は思ったより軽かった. 弾丸が斜めに当たると弾いたが垂直に来ると貫通してしまうものだったという.

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巻き脚絆など.

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ふと, ひと組の箸が目を引く. ニューギニア戦線で, もと指物(さしもの)職人の兵士の方が現地で製作された遺品だそうだ. 多くの兵士が餓死したと伝えられる厳しい戦線で, 自分の本来の技に没頭するひとときだけ心は故郷に戻って居られたのかもしれない. そこでは無名の一兵士として死ぬとしても自分がそこに存在した証として形あるものを遺そうとされた職人の気概とも.

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奥には慰霊の祭壇.

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戦争の中の現実が数多くの遺品を通して淡々と語られているという印象.

武富さんは, 筑豊炭田で労働した朝鮮半島出身者など外国人の慰霊施設の建立にも関わってこられた.

故郷に帰ることなく筑豊で亡くなった朝鮮出身者や捕虜など外国人は無縁墓などの形で粗末に埋葬されていたのだが, それらの遺骨が収集され, 飯塚市霊園の一角に建立された無窮花(ムグンファ)堂に納められ, 慰霊されている.

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ここで細やかな慰霊の祈りを捧げた.

この後, 車を走らせていると周囲にレンゲの花を発見. うちの近所でも子供の頃はレンゲをたくさん見たものだが, 今はレンゲを緑肥に使わなくなったらしく, とんと見ることがない.

九州では今もレンゲを咲かせているのかな??

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=祈=