風来坊@真幸福知

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多層膜フィルタによる色転びの補正: 色転びフラット(color conserved flat?)

Sightron QBPフィルタはHα〜S-II (640〜690nm), Hβ〜O-III (470〜510nm)を透過するダブル・ナローバンドみたいなフィルタで星雲の光を選択的に通す. これは多層膜による光の干渉を利用していて, このタイプのフィルタはとてもシャープに波長を選択するが, 広角レンズに使うと入射角の変化による干渉波長の変化で, 視野の中で同心円状の色ムラが出てしまう. (「色転び」というらしい)

そういうことで, 広角レンズでは多層膜干渉フィルターは使えないので, 色素型のフィルター(例えばKenko Starry night filterなど)を使うべしという話だが, これまで使ってみた感じでは色素型の光害防止フィルターは多層膜ほどの効果はなさそう. なので18mmの広角レンズはフィルタなしで使っている.

APS-Cサイズのセンサに50mmくらいのレンズだと, オリオン座くらいの領域が歪み無くわりと高解像度で撮れる. このくらいのレンズなら多層膜も大丈夫と思っていた(Kenko LPRフィルタではそれほど問題は出なかった)が, QBPフィルタを50mmレンズにつけてオリオン座を撮ったら, 見事に周辺で色が赤っぽく変わってしまったTT

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(オリオン座: Nikkor 50mm F1.8=>2.8, Sightron QBP フィルタ, Fuji X-E2 ISO6400 5min x 30コマスタック.)

これは失敗と思って落胆したが, 色を保存したフラット画像を使えばこれを補正できるんじゃないかとふと思って, 試したみることに...

このレンズにフィルタをつけて, PCモニタに表示した灰色画像を撮影するとこうなる. (星もフラットもカメラのホワイトバランスはdaylightとして合わせてある.)

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QBPフィルタはそもそもカラーバランスが崩れるので色がついていて, 周辺では赤っぽく変化している. 上のオリオン座の写真の周辺が赤いのはこのせい.

普通のフラット画像はこれの色を消して(desaturate)明暗だけの分布イメージにするが, そうしないでそのまま使ってみる(color conserved flatとでもいうのかな? 色転びフラット?).

結果はこんな感じ.

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(オリオン座: Nikkor 50mm F1.8=>2.8, Fuji X-E2 ISO6400 5min x 15コマスタック. 色転び)

コントラストを強めると上下でまだ色の変化(こんどは明るい緑?)が出るが, 上の写真よりは色転びが補正されてずいぶんマシになった.

下の写真↓は昔からあるKenko LPR type2を使ったもの(ふつうのフラット補正)で, 色転びはQBPよりずっと弱いがHαの赤い星雲をあぶり出す効果も弱い. 星の色はこっちの方がよく出る.

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ということで, わかったこと:

  • Sightron QBPフィルタは星雲を撮るのにずっと効果的だが50mmレンズでも色転びの副作用が大きい, しかし「色転びフラット」を使って補正できる.
  • Kenko LPR2フィルタは, QBPと比べると色転びは少ないが淡い星雲をあぶり出すように強調処理を頑張ると, 色転びが目立つようになる. これも同様に補正可能.