Sightron Quad BPフィルタやSVBONY CLSフィルタを使うと, Hα, Hβ, O-III, S-IIなど星雲の輝線スペクトルを通して他の波長の光を大幅にカットするので, 星が多いところの淡い星雲などがよく撮れる.
こういうのは, サイズのラインアップとしてアイピースサイズの1.25インチ, 撮影用に2インチ, 他にはCanon, Nikon, Sonyなどメジャーな一眼カメラのボディ内につけるクリップ式のものだけというケースが多くて, 望遠レンズの前につける大径の(72mmとか)や, Fujifilm Xシリーズなど比較的マイナーなモデルのクリップ式はない.
天体望遠鏡を使って撮るときには2インチのでOKなのだが, Nikkor ED 180mm F2.8 (フィルタ径72mm)で星雲をいっしょうけんめい撮りたいときにちょっと困る. Kenko LPR type 1 (光害カットフィルタ, 72mmサイズがある)もそれなりに良いのだが, 透過波長範囲が広いので星雲だけ強調する効果は薄い. レンズ自体は, f=330mmの望遠鏡の倍くらいの視野があって, 大きい星雲を撮りたい時にちょうど使いたい.
という悩ましい状況+月が大きくなって雨も降り出したというところで工作に走る(笑)
先日のこのマウントアダプタ(Nikkor 180mmをFujifilmカメラにつけるやつ)中にフィルタを入れることができそう....
SVBONY CLSフィルタ(その手のフィルタで激安のやつ, 最近QBPの登場により使用頻度が減っていた)なら失敗しても(精神的)ダメージは少なそうということで, またしても荒ワザを思いつく. フィルタ本体を2インチ(M48ネジ)の枠から抜いてみると, このマウントアダプタの前面(Nikkorレンズ用マウント)からツメ(内側に出っ張ってるとこ)を避けて差し込むと, ぎりぎりで入るということを確認. 入れたところで内部のテーパーに押し付けて止まってくれるとありがたい.
ということで...
シリコンチューブ(内径2mm,外径3mm)を長手方向に切り開いて(つまり断面がC形)フィルターのガラスの周囲を噛ませて巻きつける. 黒プラ板(ダイソーで買った)から外径46mm(フィルターと同径)内径38mmのリングを切り出し, フィルタに巻きつけたシリコンチューブに接着(シリコン系接着剤使用).
このシリコンチューブは, サイズは自転車用の虫ゴムとほぼ同じ. 最初に虫ゴムで試したのだが, こすれると表面が荒れてゴミが出る. その点シリコンは大丈夫で, 他の材料(バイトンなど)のチューブと比べて薄いものがあり(たぶん医療用), フィルタに巻いた状態でアダプタに入れられるのは見た所これしかない.
シリコンチューブをフィルタの周囲に巻く時に, 端と端が出会う所に1cmほどすきまを空ける. 全周巻くと, アダプタの前から入れる時にきつくなるから, 1cmのすきまのところをアダプタ前面の穴の縁に当てて通過させて入れるわけです.
中に入ったら, 縁を前から押さえて奥へ押し込み, 内部のテーパーになっている壁に固定する. (シリコンチューブの弾力で止まる)
黒プラ板のリングは遮光板の役割をする. シリコンチューブは半透明で, 迷光を散乱してしまうから.
工作の途中でフィルターが一部接着剤で汚れたのがちょっと失敗(TT)だが, 大した影響はなさそうなので善しとする.
ともかく, これで180mmレンズももう少し星雲に使えるかも.
<おわり>