風来坊@真幸福知

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始まりは坐禅会のご案内, 思いつくことを何でも書いていたら星空系に... Started with Zazen session info. now almost astrophotos. 시작이 참선회 안내, 이제 별하늘 사진들.

惑星カメラ × オールドNikkor = 電視観望?

「電視観望」という言葉を見かける.

望遠鏡を直接のぞく眼視観望で見られるシャープな星像の美しさや, シンチレーションが落ち着いた瞬間の月面や惑星には, カメラとPCモニタ越しの映像など及ぶわけがない...と思っていて, 実際観望会で初めての人にそれらを見せてあげると, 異口同音に感動と興奮の声が聞かれる.

しかし, オリオン大星雲(M42)やアンドロメダ銀河(M31)やヘラクレス球状星団(M13)を見せてあげても大した反応がないことは案外多い. 実際多くの人には淡くぼーっとした何かがあるだけだから. そういう超メジャーなもの以外は(15cm望遠鏡でも)見える人すらごく僅かなのかも. (何とか彗星を家族は誰も見えなかった)

電視観望は, そういう「淡い」ものをみんなに見えるようにする, それで感動を共有するということにおいては, なかなか強力かもしれない.

とかいうようなことを雨の日にふと思って, ここにある惑星カメラで何がどんな感じに見えるか....などとStellariumで見ていたら, 天体望遠鏡よりもカメラのレンズの方がいいんじゃない? ということになった.

惑星用のCMOSカメラはセンサが1/3インチとか1/2インチで小さい. ZWO ASI385MCは1/2インチで, 横が7.3mm. フルサイズ(横36mm)と比べると約1/5のサイズ. ということは, フルサイズ換算の焦点距離は実際の5倍となる. つまり50mmレンズ=>250mm相当, 180mmレンズ=>900mm相当. そうすると, 星雲や星団を望遠鏡の低倍率で見た感じ, または望遠鏡の直焦点の感じはカメラ用の望遠レンズで良い.

ちまたには, ZWO社のCMOSカメラ(取付けがT2ネジまたは1.25インチスリーブ)にカメラのレンズをつけるためのアダプタなるものも出回っているが, 高いし三脚座がないので却下. (Nikkor 180mmは自体に三脚座がなく, 重いのでアダプタに三脚座が欲しい)

何か簡単にできる方法はないか...と工作に手を染める.

Nikonのレンズの後ろのキャップと10mm厚のアルミ板を買ってきて, Φ32mmホールソーで穴を開け(1.25インチのスリーブを通す), レンズキャップとアルミ板をM3ビスで固定. アリガタにM4ビスで取り付ける. アルミ板の32mm穴には端面からM4ネジ穴を通して, 1.25インチスリーブを2方向から押して止められるように.

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ちなみに, レンズの後端と惑星カメラのセンサの距離を考慮する必要がある.

Nikon Fマウントのフランジバックは46.5mm

ZWO社のASI385MCなどのフランジバックは12.5mm

したがってレンズのフランジ面からASIカメラの前面までを46.5-12.5=34mm以内にすることが必要. (短いのはフォーカス調整できるので大丈夫)

レンズキャップの厚さ17mm, アルミ板10mm, 余裕はあと7mm.

アリガタに取り付ける位置は, Nikonの50mm〜180mmレンズを取付けてアリガタの真ん中にある1/4インチネジで雲台に固定したときにバランスが何とかなるくらいにしてある.

カメラと180mmレンズを付けたらこんな感じ.

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15cm反射の横でガイド鏡用の雲台に載せておいて, 同じ視野を見るようにすると, 直接眼視と電視の両方を見られるようになる. そういう使い方をしてみるつもり.

しばらく晴れそうにないので(TT), Stellariumで惑星カメラ × 180mm望遠レンズの視野を見てみる.

(以下, Stellariumの画角表示画面のスクリーンショット. 赤枠が180mmレンズの視野)

アンドロメダ銀河M31: 画面いっぱい.

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オリオン大星雲M42: これもなかなか.

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ヘラクレス球状星団M13: ちょっと小さいが...

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こぎつね座亜鈴状星雲M27: 銀行マーク風.

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こと座のリング星雲M57くらいになると, 小さくてカメラレンズよりは望遠鏡の方がよさそう.

実際どのくらい見えるかは見てみないと分からないが, ASI385MCは感度はかなり高いので期待できそう. 〇〇大星雲を見ても「こんなもんか」という反応をくつがえして感動を呼ぶことができるか!?

 

追記(6/21): 晴れたので:-)実際に見てみた.

標高560mで光害の少ないところ, 薄い雲が少しあったかも.

Nikkor ED180mm F2.8開放, ZWO ASI385MC, AstroDMx Captureで露出2-5s, ゲイン 70-75%, 10フレームライブスタックのスクリーンショット.

M8, M20:

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M17:

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M27:

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M13:

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M51:

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やはり惑星状星雲や銀河など視角の小さいのは望遠鏡につけたほうが良さそう.

しかし, 星雲が色付きで誰でも見られるのはやはり面白い.