その昔, 神武天皇が即位されたのが西暦660年1月1日という日本書紀の記録により, 明治になって新暦換算されたのが2月11日とのこと.
それは置いておいて, 天気は雨, 本堂に行って何となく掃除を始める. 正月前に掃除してから, ずいぶんサボっているのがそろそろ意識の表層に呵責として浮き上がってきたのかもしれない. 最近寒いので坐禅会を本堂ではなく真幸閣の方でやっていることもあって, 本堂にご無沙汰している.
<94年製 シャープ掃除機(笑)>
自室の掃除は25年くらい使っているシャープ製の電気掃除機(これも考えてみればすごいかも)でしているのだが, 本堂の掃除はホウキ(箒)を使う. 特にそうしなければならないわけでもないが, ホウキが良いのである.
坊主といえば作務, 作務といえば掃除, 掃除といえばホウキ, というのかな?
<ホウキ in 本堂>
つらつら考えるに, ホウキには5つの功徳がある.
端正
電気掃除機がどんなに洗練されたとしても, このホウキのプロポーションと静けさ, つまり端正さを凌駕することは不可能と思われる. 某アニメや某映画でホウキは非常な存在感を見せたが, 魔法使いの道具として取り上げられるほどの神秘を感じさせるに足る容貌をもつとも言えるのではないか.
塵(チリ)の可視化
清掃からしばらく経って, ひとつひとつ目に見えるようなゴミが散らかっているわけではないが, どことなく塵が積もり始めたような感じのするとき, 本堂の上から下へと掃けば, 終いには塵や小さな虫たちの骸(ムクロ)が目に見える集りとなる. 人(自身)の心もこんな感じなのかなぁなどと思う.
自然へ還元
このホコリたちを, 全部吸い取って袋詰にして焼却してしまう現代の社会システムに乗せて自然から隔離してしまうことなく, ホコリはホコリのまま自然に還元する. こうして本堂に骸を横たえた虫たちにとっても何だか優しい気がする(後に庭の落ち葉や草と一緒にクヨシされるにしても..).
体操で健康
ホウキで本堂を掃除するとそれなりに手足, 肩, 腰などがほぐれて体が温まる. ホウキを扱うことによって身のこなしがこなれる(?)かも.
つまりは美学
本堂で掃除をしてるときに参拝の方が来られる場合, 電気掃除機を引っ張りまわしているところだと何となくかっこ悪いが, ホウキを持っている場合は多少絵になってる気もする?(笑)
かつて某本山で修行させていただいた時には, お堂(の一部)に絨毯が敷かれていて, そこに落ちた灰やほこり(とても目立つ)をきれいに吸い取るために電気掃除機が使われていた. 洞松寺(外国人の雲水(修行僧)が多い)では, 作務の時間に外国人の雲水たちが効率の良い電気掃除機を好んで使う(Why don't you use vacuum?みたいな)のに対して某Y和尚は法堂(ハットウ)をひたすらホウキで掃いていた. 聞いてみると, ただ「ホウキがいいんですよ」とニコニコしていたが, 私よりひと回りも若い彼は, すでにある境地に達していたのかも...などと回想したりする.
そんなことしている間に, 本堂掃きは案外早く終わるのである. ホウキも掃除機も時間はあまり変わらないのかもしれない.
本日はつねづね感謝の念をもって握っている本堂のホウキくんをfeatureしてみました.
<合掌>
PS ホウキ=法器!? (dharma tool?)