10連休の2日めに当たる日曜日の本日, ラジオからは今日から明日あたりが渋滞のピークになるとの交通情報.
チュソクの国民的大移動の喧騒の外にいる外国人としては, 整理する時間もなくたまっていた写真を整理してみたりする. 9月に行った山登りなど...
ソラク山(설악산,雪岳山) 1708m ---
ポハンから300kmほど北上したカンウォン道にあるソラク山国立公園はやたら広くて, 話を聞くと1日で登って降りるというよりも山小屋に泊まって2-3日歩きまわってくるべき山らしい. が, 時間があって天気の良い週末に電撃的に行ってくるスタイルとしては, それでも1日で一番高いとこに行ってくるコースを厳選してアタック. 南麓のオセク(오색, 五色)温泉という温泉街からの登山道が5km, 標高差1300mで一日登山で頂上(대청봉,大青峰? 1708m)に行って来られる最短コース.
朝6時半ごろに登山口に到着, 登り始める.
急な階段の上りコースが延々と続く. ごろごろと大きな石が敷かれた登山道と天国にいっちゃいそうな階段を数回登ると(以前チェジュ島のハンラ山に登った時を思い出す), 頂上近くの比較的傾斜のゆるい稜線に出て, 風景が楽しめるようになって疲れも忘れてしまう.
鮮やかな緑色に2本縞のイナゴ? ダイセツタカネフキバッタ, 北海道にいるのと同じバッタみたい.
頂上発見. 10時過ぎ.
南側と北側の風景はエライ違い. 北側を見下ろすと, 一目見るだけで"凶暴な"とか"険悪な"とかいう表現が浮かんでくる鋭い岩山がゴツゴツ. 風がかなり強くこわい感じがさらにきわだつ.
頂上の隣には少しだけ低い峰がもうひとつあってレーダー(気象?)のドームが見える. 間に休憩所. 頂上のまわりはわりとなだらかで9月後半で既に紅葉がきれい.
レーダードームの少ししたから西を望む.
頂上を振り返る.
雲が秋らしいかんじ.
頂上にいたテントウムシ. これは普通のナナホシテントウかな. ここでも岩のてっぺんから飛んでいきました. 指の先から飛ぶのとはまたスケールが違う(笑).
少し歩くとまた違う風景が見えるのでなかなか降りる気にならず昼ごろまで頂上付近でぶらぶら. 他にもちょっと歩いては写真を撮りまくっている親子など, 登山客多し.
そして下山.
下りは日も高く登って1000mちょいくらいまで紅葉が鮮やか.
午後2時すぎにオセク登山口に戻り, 温泉へ.
炭酸や鉄を含んだ泉質で, 朝新しいお湯を張ってから一日のうちに成分の酸化がすすみながらお湯の色が淡青色から褐色に変化するという. それで五色温泉の名があるらしい. 福島にも五色沼ってのがありましたね.
温泉の駐車場で見かけた見慣れない虫. 甲虫のようなカメムシのような...
後で調べるとかなりレアなニシキキンカメムシの幼虫ということらしい.
ヤング郡ヘアン面(양구군 해안면): 停戦ラインの村 ----
地図を見ると, ソラク山の北西にクレーターのような盆地がある. 北との停戦ラインに接する地区, もしかしたら民間人の出入りが統制されているんじゃないか(板門店近くの自由の村みたいに)と思ったが, 気になって行ってみると割と普通に人々が暮らしていた.
写真↑は南側へ抜ける峠にあった展望台から. 外輪山の中に広がる村が一望.
東側から外輪山の峠を越えてクレーターの中に降りた所に, ヤング(양구)統一館という建物. そして第4トンネル(제4땅굴)/ウルチ展望台(을지전망대)という看板が目を引く.
案内所のおじさんに聞いてみると, この後ろの山を登ったところに, かつて北が南にスパイを送り込むために掘っていたトンネル(4番めに見つかったもの)と, 停戦ラインの向こうを眺められる展望台があるとのこと. 午後5時を過ぎると統制されて入れないのと外国人はパスポートがないとダメとのことで, 今回は見学をあきらめる. しかし自家用車で行ってこられるということで, 板門店のDMZツアーよりは手続きが簡単な感じ. 田舎だから??
展示館には, 北の同胞たちがどんな生活をしているか, など資料が展示. 北が掘っていた南侵トンネルのことも. この展示館の横には朝鮮戦争(1950)の時のことを記録し戦没者を慰霊する戦争記念館があった.
また, この周囲には軍の施設も多く, 道路には要所に封鎖や迎撃の仕掛けが見られる.
裏山の向こうが北という停戦ラインの村では, 今のような緊迫した状況でも多くの韓国人にとってほとんど意識の外にあるように見える北・統一に対して, また違った感覚なのだろうか...
ソクチョ(속초,束草)市から見たソラク山系 ---
ヘアン面から海岸に戻ってきたところで日が暮れて, ソクチョで泊. さすがに300km強を日帰りする元気はなく, 朝になったらソクチョからソラク山系が見えるかなということで....
(Google Earthだとソラク山の北側のゴツゴツがすごい感じで見えそうだったので)
見えました. 手前の水面は海岸沿いのチョンチョ湖(청초호,青草湖), 河口の入江で船着場になっており, 釣りをする家族連れなどがちらほら.
町並みの向こうにそびえる異様なゴツゴツ. 風景は足で見るもんですね. (写真は足で撮るとも..)
ナクサン寺(낙산사,洛山寺) ----
ソクチョ市の南の海岸沿いにある観音霊場, ナクサン寺. 以前一度来たことがあるが, 帰り道に寄ってみる.
ウィサン大師(의상,義湘)が7世紀(671,新羅時代)に観音霊場として建立.
洛山の名は観音菩薩の浄土, フダラク〜ポタラカ(補陀落)に由来する. (日本でも飛鳥, 奈良時代からの観音霊場があるが, 近い時代?) 2005年には山火事で多くの堂宇を焼失し再建されている.
圓通宝殿(観音菩薩が祀られる本堂)の前の仏塔は創建時にウィサン大師が建てた3層の塔が15世紀に7層に改築されたものとのこと. 参拝の人たちは本尊の観音菩薩, 堂内の山神とかいろいろに三拝してこの仏塔の周りをまわって礼拝して行く. とにかくよくお拝をする.
トイレ(韓国のお寺ではヘウソ(解憂所)と表示されることが多い)の前にコスモス. 自然は共生の世界.
こっちも共生. (コスモスとアブラムシとアリ)
海を望む観音菩薩像. 礼拝する人々の列が続く.
わりと最近建てられたらしい観音堂, 普陀殿. 千手観音が祀られる.
この辺は梨が有名らしい. "洛山梨(낙산배)"は朝鮮時代の15世紀に主要果樹と指定されて国の進上品(献上品?)とされたと記録があるが, 今の梨は明治時代に日本の"長十郎"が当時の住職によって日本から輸入されて境内に植えられたのが原木で, これがその原木とのこと.
観音像は高台にあり, ソラク山系が遠望できる. 一番左の高い峰がソラク山.
ガンルン海岸 ----
さらに南下, ガンルン(강릉, 江陵)海岸に立ち寄る. 昔, 家内と韓国ドラマを見ていた時に聴いた, "ガンルン カジャ"(ガンルンに行こう)というセリフが何故か記憶に残っている. ソウルからふと思い立ってドンヘ(동해, 東海)を見に半島を横断して行く海岸, というイメージなのかな? 日本で言うと, 東京の人がふと思い立って日本海を見に新潟に行く感じかもしれない.
白い砂浜で, 歩いていると, ところどころキュッと鳴る. ちょっとだけ鳴き砂な浜だった.