タイムリーな記事を見てしまったのでリンクを...
私も仕事柄, 現場を今まで2度見せていただいたことがある. 一度は2014年9月にシビアアクシデントについての国際会議でのツアー, 2度めは韓国の大学で参加している研究課題で2015年1月に大学の先生たちを案内しての訪問.
上の記事にも書かれているように時間の経過と共に現場の除染は進み, 原子炉建屋の近く以外では防護服の必要がない程度になっていた. 汚染水の処理も設備増設ですすんでいるようだった. 問題になった土壌の凍結装置が稼働し始めていた. でも毎日6〜7千人の作業員が, 建設的な事業じゃなく事故の後片付けのために投入され続けているということ自体が, 目の眩むような厳しい現実だ.
現場から約10km, 現場のバックアップ兼見学者の受入場所となっている「Jヴィレッジ」では当時既に通常の自然線量程度. 地元の子どもたちから贈られた, 廃炉作業に携わる人々への応援のメッセージや千羽鶴が掲示されているのを見て, ただの訪問者である私でも心に染みた. 先の遠い廃炉作業に携わる人々の心を励ましているのだろうと思う.
私が韓国で原子炉事故の研究に再び参加するようになった動機のひとつは, 韓国や中国で進む原子力利用の安全確保に多少なりとも貢献したいことだ. そこは日本からみたら風上である. もし韓国や中国で同じような事故が起こったら? と考えると, 不謹慎と取られるのを覚悟で敢えて書くが, この事故が日本の東端で起こったことは不幸中の幸いだったと言わざるを得ない. 私の地元, 島根の海岸にはハングル文字や漢字の書かれた大量のゴミが流れ着く. 同じ上流の国々でもしも放射性物質が漏出すれば, 広い太平洋のような希釈は望めず東シナ海や日本海はどうなるだろうか?
日本の経験した事故を実感を持って韓国の学生, 次世代の技術者に伝えることは, ささやかながらこれらの国々の次世代技術者に, 東電福島第一原発の事故を他人ごとでなく自分の問題と捉えてもらうことに役立つのではないかと期待する.
てことで, 12月に学生9人を引率して再び訪問予定. 多くの原発をかかえる慶尚北道の予算による原子力専攻の教育プログラムの一環.