4年くらい(昼夜問わず過酷に)愛用しているLG gramのファイルシステムにエラーが出たり, WiFiが不安定になったりしたこともあり, そろそろリプレイスを考えなきゃということで, 最近のノートPCを購入してLinux (Ubuntu 20.04LTS)のインストールをやってみた.
そのあたりのメモ.
持ち歩くノートPCだとハードがちゃんと動いて欲しい要求がいろいろあって, そこがクリヤ出来るかどうかが使い物になるかどうかに直結する.
- 外付けDVDドライブからUbuntuを起動してインストールできる
- グラフィックが動作する
- タッチパッドが動作する
- ネットワーク, WiFiが動作する
- サスペンド/レジュームが問題なく動作する(サスペンドはdeepモードができて欲しい)
- カメラのSDカードが読み取れる
スペックとしての要求は...
メーカーはLG, ASUS, Fujitsu (made in Izumo!), mouse computer あたりで探してみると...
- LG gram 14Z90P-KA55 (14インチ, Core i5 (11世代), RAM 8GB, SSD 512GB, 999g, 幅313mm, バッテリ37時間)
- Fujitsu LIFEBOOK W-UX/E3 (13.3インチ, Core i5 (11世代), RAM 8GB, SSD 256GB, 634g〜, 幅307mm, バッテリ11時間)
- mouse DAIV 4P (14インチ, Core i7 (11世代), RAM 16GB 16GB, SSD 512GB, 985g, 幅309mm, バッテリ12時間)
くらいが目に止まる. お値段はLGが13.5万, あとは約15万.
LG gramがバッテリーのもちがダントツなのは有名. 新しいモデルはモニタが14インチにサイズアップ(今まで使ってたのは13.3)して作業上は良くなったと思われる(窓2つ並べて作業するときに下の方がもう少し見える)が, 外寸が少し大きくなった.
FujitsuはLenovoの資本を受入れて傘下に入ってしまったが, 生産は国内しかもmade in 出雲, それでとても軽いモデルを出している, ということで気になっていて, 使ってみてもいいかな...と.
mouse computerは長野の飯山でPCを作ってる会社, しかしこのDAIVというモデルは台湾のClevo社のOEMかも? DAIVはクリエータ向けブランドとのことで, 価格のわりにCPU, RAMなどがハイスペックになっていて画像処理などに強そう.
ということで, 今回はLGはおいといてFujitsuとmouse computerを購入し, Ubuntu MATE 20.04LTSの動作テストをした.
結果は...
- Fujitsu W-UX/E3: サスペンドからのレシュームでスクリーンがブランクになる問題が解決できない
- mouse DAIVE 4P: サスペンドからのレシュームで音声がでなくなる問題が発生したが, 対処法はあって使える
ということになった. 以下, 詳細.
Fujitsu LIFEBOOK W-UX/E3
外付けDVDからUbuntu MATE 20.04LTSを起動, インストールできた.
ここ↑などを参考にその後の設定.
- タッチバッドは自動では動かない
# modprobe i2c-hid
で動くようになる. /etc/modules にi2c-hidを書く.
- タップが効くようにするには, xinputでデバイスを調べて設定
xinputでデバイスを確認
$ xinput
┌Virtual core pointer
│ ↳
│ ↳ 0x.. 0x.... Tachpad id=,,,,,, <= Tachpadのデバイスを確認
設定
xinput set-prop "0x.. 0x..... Tachpad" "libiniput Tapping Enabled" 1
libinputでいろいろなパラメータ設定できる. タップのボタン配置は..
xinput set-prop "0x.. 0x..... Tachpad" "libiniput Tapping Button Mapping Enabled" 0, 1
- suspend => resumeでスクリーンがブランクになるトラブル(中は動いてはいる)
ブラインドで以下のようにしてシャットダウンはできる.
alt+ctrl+t => terminal起動
sudo shutdown -h now
[パスワード入力]
=>これでシャットダウン.
この問題は, Intelのオンボードグラフィクスi915に関係するバグらしく, kernelの新しいのでは修正されているかもしれないが, Ubuntu 20.04ではダメみたい.
/etc/default/grub で起動時のパラメータに"i915.modeset=0"を追加するとサスペンド・レシューム時の問題は起こらないが, グラフィックチップに対するコントロールが失われるようで, キー操作によるモニタの明るさ調整ができなくなってしまった.
また, サスペンドでLG gramではできていた"deep sleep"(詳細は後ほど)に入らないので節電効果があまり期待できないという問題もある.
以上のようなことで, 結局FujitsuはUbuntu MATE 20.04 LTSでの利用をあきらめ, Windowsネイティブで利用することにした. (電子認証などVMのWindowsではうまく動作しないらしいものもあるので使い続けていた10年+モノの重量級HPノートのリプレイスに...)
mouse DAVI 4P
まず, 外付けDVDからUbuntu MATE 20.04LTSを起動して動作を見る (ちょっと慎重になっている(笑)).
オンボードグラフィックの"Iris Xe"というのがkernel 5.4 (Ubuntu 20.04 LTSの当初)ではサポートされず, 5.8以降でサポートされているということだが, 最近のアップデート版20.04.2では5.11になってるということで問題はなかった. サスペンド/レシュームもFujitsuみたいなブランクスクリーン問題はない.
それでインストールしてみた.
- suspendの動作チェック
/var/log/syslogを見ると s2idle に入っている.
Sep 27 11:07:05 mouse kernel: [ 44.504619] PM: suspend entry (s2idle)
ちなみにLG gramでは"deep"となっていて, こっちの方が節電効果が大きい.
ここの情報によると→ System Sleep States — The Linux Kernel documentation
suspendの状態には以下がある(状態をディスクに保存するhybernationは除く).
- s2idle : suspend-to-idle (user spaceをフリーズ, timekeepingとIOをlow-power状態にして, ランタイムのアイドル状態よりも節電)
- shallow : standby (さらに使用しないCPUをOFFにして節電)
- deep : suspend-to-ram (メモリ内容だけ保持してあとはlow-power状態とする節電)
grubの設定 /etc/default/grub でsleepのでデフォルトを"deep"にしてみる.
GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="mem_sleep_default=deep"
$ sudo update-grub
リブート後, suspendを試すと...問題なく"deep"の状態になっていた.
Sep 27 11:17:28 mouse kernel: [ 44.347277] PM: suspend entry (deep)
これでサスペンドのハード的問題は払拭された....と思った.
ところが, しばらくしてサスペンド/レシューム後に音が出ないことに気づく.
- suspend/resume後に音が出ない問題の解決
検索したらこういう情報があった:
ここにある方法を試したら解決した.
suになってPCIバスの情報を見てオーディオのデバイス番号を調べる.
# sudo su
# lspci -vvv
...
00:1f.3 Audio device: Intel Corporation Device 02c8 (prog-if 80)
Subsystem: Xiaomi Device 1963
Control: I/O- Mem+ BusMaster+ SpecCycle- MemWINV- VGASnoop- ParErr-
....
これで"00:1f.3"と分かる. レシューム後に音が出ないとき, デバイスを一旦外して再度接続(?)する.
# echo 1 > /sys/bus/pci/devices/0000:00:1f.3/remove
# echo 1 > /sys/bus/pci/rescan
これをやってみたら音が出た. これに加えて, キーボードで一旦ミュートして再度ボリュームを上げるという操作が必要な場合もあるが, とにかく音は戻ることが確認できた.
上の操作を, レシューム後に自動的にさせるには, Ubuntu 20.04では"systemd"にさせるために /lib/systemd/system-sleep/ 以下にスクリプトを置けばよいらしい.
それで, 以下のスクリプトを作成してそのディレクトリに置いてみた.
#!/bin/sh
# resume sound (device 0000:00:if.3 found by "lspci -vvv")
case "$1" in
post)
#code execution AFTER resuming
echo 1 > /sys/bus/pci/devices/0000:00:1f.3/remove
echo 1 > /sys/bus/pci/rescan
;;
esac
exit 0
これで大丈夫になった :-)
- vmplayer によるWindows 10 VM の動作
これまでLG gramで使っていたWindows 10 VMを移動して, 起動しようとすると, 起動できない. BIOS設定(DELを押しながら起動)の"secure boot"が関係しているようで, これを"disable"にしてみたら, VMは問題なく起動した.
VMのファイルを別の所にコピーしてから最初に起動する時, copyしたのかmoveしたのか?と問うダイアログボックスが出る. copyしたと答えると, 別の仮想マシンとして設定されるし, moveしたと答えると, 同一のもの(たぶんMACアドレスとか?)とされるのだろう.
Windowsにはライセンス管理された諸々のソフトがインストールされているので, 移動先で起動する前に, もとのLG gram上のVMではアンインストールしておいた.
VMの初起動時にmoveというだけでよかったのか, それともこのようにもとのVMでのアンインストールも必要だったのかは結局のところ分からないが, 移動先では特にライセンス登録を再度せよとも言われず使えている.
- impressive (PDFのプレゼンテーションツール, トランジション効果あり)
Ubuntu 18.04 LTSではあったのだが, 20.04 LTSではオフィシャルのレポジトリにないTT. NeuroDebianというディストリビューションのものが使えるという情報を見つけてインストールした.
$ wget -O- http://neuro.debian.net/lists/focal.jp.full | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/neurodebian.sources.list
$ sudo apt-key adv --recv-keys --keyserver hkps://keyserver.ubuntu.com 0xA5D32F012649A5A9
$ sudo apt-get update
$ sudo apt install impressive
impressiveはpythoneで書かれていて, 実行するにはいろいろ環境が必要らしい. それでソースのtgzを持ってくるよりはaptのパッケージの方が簡単.
- stellarium
プラネタリウムのStellariumはUbuntuオフィシャルでは0.19.3だが, もっと新しいのが使いたい(0.21.2)ので, Launchpad PPA (Personal Package Archives)から...
DAIV 4P雑感
こんなところで, 使ってみている感じは....
- Core i7でRAMが16GBあると, VMのWindowsを使用するときにも余裕がある.
- Gimpやスタック処理などの画像処理が速い. ただ, そういう忙しい処理をさせるとファンが盛大な音を立てて回るしバッテリーをどんどん消費している感じを出す(笑).
- バッテリーの持ちはLG gramほどではないが, 半日くらい外で物書きやプログラミングなどの仕事をするくらいは大丈夫なので実用上問題はなさそう.
- LG gram13の13.3インチ(16:9)ディスプレイと比較して, 14インチ(16:10)は縦が少し長いだけだが, 文書やプログラムを扱う作業(縦スクロールを多用)では縦の見通しが少し良くなるととても快適:-) たとえば, デスクトップの下端に出しているパネルを引っ込めなくても不快感がない.
縦横比の件, こんな記事があった. 最近16:10や3:2がホットらしい.
以上.