世界平和統一家庭連合(家庭連合, いわゆる旧統一教会)の二世メンバーたちが任意団体を立ち上げて, 今の日本の「魔女狩り状態」に一石を投じている.
そして, 第1回公開シンポジウムが, 有識者としてジャーナリストの福田ますみ氏と弁護士の徳永信一氏, それから報道陣を招いて4/23に開かれた. 今後しばらくYoutubeで録画が見られるらしい.
ここで↓Youtube動画が見られ, 感想や意見を送ることができる.
動画は2時間あって長いが, 1.5倍速くらいで視聴すれば良いかも.
最初に会の代表で二世信者の小嶌さん, ジャーナリストの福田氏と徳永弁護士の基調スピーチがあって, その後二世信者の小村氏を加えてパネルディスカッション, 最後に質疑応答.
それぞれになかなか濃い話が展開されている. 一部の二世信者たちが学校や職場で曝されている過酷な社会的圧力についても話が出ている. 事例の中には, 家族や知人との関係への支障の他, 授業の中でのあからさまは踏み絵のようなことや, 住居の契約を断られる, 病院の診察を断られるなど, 驚くようなこともある.
福田氏は安倍元首相の暗殺事件以来のメディアの旧統一教会問題に対する異常なほどの偏向と過熱に疑問を持って地道な取材をした結果分かったことを, 徳永弁護士は国連憲章に始まる現代の人権の基本から, 昨今の旧統一教会を解散させようとする動きの異常さを話している.
フロアからの質問で, 二世信者たちが自主的にこういう会を始めようとした時に教会の本部はどう反応したのかというのがあった. 最初は軽くスルー(あまり期待しない承認?), だんだん具体化すると世間から叩かれるかも知れないと心配して猛反対, それでも自分たちは決心してやると訴えるとしみじみ「ありがとう」という, 何か親子の内情がにじむような話.
家庭連合の問題点をパネルに尋ねる質問に対しては, 徳永弁護士が日韓関係に対するスタンスのわかりにくさを挙げた. これは鋭い指摘と思う.
教会(と関連団体)は政治的には宗教性と家庭を大切にする保守系のスタンスをとっていて, 当然それに近い立場の政党とは親和性がある. しかし, こと日韓関係については日韓併合時代の歴史について韓国側の日本悪玉論的な主張の片棒をかついでいると思われている節があるし, 反共をリードしたと思ったらキム・イルソンと会うなど外からは理解しにくい面もあり, 韓国・北朝鮮のフロント組織と(日本の保守系の人々に)誤解されている節がある.
韓国にルーツ(教祖)があって教勢では日本が大きなシェアをしめる教会, そして双方で実は愛国的な人々が信者のかなりの割合を占めるというあり方を見れば, その思想の中に日韓双方を抱く器があることを示しているとも言えるだろうが, 実際に組織の内情を覗けば日韓の指導者やメンバー間に日韓問題についての相反する思いが眠っている現状もありそう.
結婚を通じて日韓の葛藤が解かれつつあることは, パネリストの体験談にも出てきて, そういうミクロな葛藤の解決が進行しつつあることに希望を感じられる反面, 組織団体として事実調査に基づく歴史解釈の整理と相互理解を進めることはその一歩先の重要課題だろう. もしかしたら学者(思い込みが強い)を集めるとかえってそういう分野では収拾がつかなくなるとか(笑), 特に韓国では歴史問題に関する発言が政治的にリスクが大きいという障害があって, 今に至るまで状況が改善していないのかも.
(日韓関係のこういう面については, Youtuberの「キムチわさび」さんが貴重な発信をしている)
この新しい試みがどのように発展し, 果たして功を奏するのか? マスコミの嵐の後で荒れ果てた大地に, 石をひとつづつ積み上げるような道かも知れないが, 応援したい.
【祈】
