ポラリエに手を出した
先日の数時間に及ぶ手動ガイド(修行)のトラウマと, 必要にかられて始めたヤフオク & メルカリの利用の結果, ビクセン製のポラリエというポータブル赤道儀を購入してしまった.
ケンコートキナーのスカイメモSと迷う所だが(え?普通迷わずスカイメモ?), コンパクトさとスマートさからポラリエに流れる. (手持ちの道具箱に全部入る. スカイメモは多少かさばるしネジの変換とか...)
ところが...
昨夜の晴天でテストするも, 200mm望遠レンズ(センサはAPS)で1分以上の露出ではかなり星が流れてしまった. それなりの結果が得られたのは30秒露出のケースだけ. 赤緯方向に流れるので極軸があっていないということ. 逆にガイドの精度はかなり良いということで, 極軸さえもっと正確に合わせられれば期待できる. (うちにあったヤワな三脚を使っていたのもマイナス要因)
<失敗例 バラ星雲: 200mm F4->5.6, X-E2, ISO3200, 2min, トリミング(中心部拡大), 縮小, 色調整>
ポラリエには隅っこに北極星をのぞく孔が開いていて, それを使って極軸を合わせよということらしい. オプションで極軸望遠鏡もあるが高いし, カメラを載せた雲台をはずさなければ使えないのでは, 全て装荷した撮影できる状態でのチェックができない. 極軸を正確に合わせた後でカメラを載せたらズレてしまうということもあり得る. 天体望遠鏡に使うようながっちりした三脚を使わないのであれば, 前述のスカイメモの極軸望遠鏡でも同じような短所は考えられる.
"極軸孔"の精度をもっと...
どこかのブログで, ポラリエの孔にストローを挿して視野を絞り, 方向の調整精度を改善する話があったが, やはりその線で行こうということにして, 身の回りで適当なパイプを探す. が, なかなか無い. 細めのボールペンの軸などを見つけて測ってみるのだが, ポラリエの孔(直径7mm)に入るほど細いものがない. アルミかプラスチックのΦ6.5〜7.0mmのパイプを買うか..とアマゾンなどを探し始めたときに, ふと思い出したのが使っていない手帳用のミニ・シャープペンシル.
ペン立ての隅っこから発掘して測ると直径約6.8mmでぴったりである. 改めてまじまじと見れば, "Pentel Sharp 0.5 QS55 Japan 7f"と型番らしきものが書かれている. ぺんてる株式会社よナイス! (筆ペンも愛用している)
<ぺんてるの手帳用シャープQS55 (分解してしまつた, ポラリエの孔に合わせてアルミテープも巻いた)>
<ぺんてるQS55改(バラしてテープ巻いたただけ) ポラリエ専用超簡易極軸望遠鏡>
サイズは, 内径5.85mm, 長さ91.35mm. 端からのぞいた時出口の視角は半径1.8度となる. (atan(5.85/2/91.35)=1.83deg)
ポラリエの孔が直径7mm, 長さ35mmで, 視角は半径5.7度だから約1/3の狭さである. 細い孔から北極星を見るのは少ししんどいが, 方向の精度は格段に上がる.
<LEDペンライトを北極星と見立ててのぞいた感じ. ポラリエの孔そのまま>
<ポラリエの孔にぺんてるシャープの筒; かなり視野が絞られる>
北極星は天の北極から約40分=0.66度ずれた所にある. どちらにズレているかは今時のプラネタリウムソフト(Stellariumとか)があればすぐに分かる. のぞいた視野の半径が1.83度なら, 半径の1/3くらいのところに北極星が来るようにすればかなり正確に極軸が合うことになる.
ぺんてるのシャープペンシルが孔にきっちりハマるようにアルミテープを巻き, 簡易極軸望遠鏡(?)完成. 暗いところでのぞくので間違って眼に筒先をぶつけないように, ポラリエの背面から筒が出ないようにしてある.
これを挿して, さらにポラリエの背面にげんこつ一つを入れてのぞけば, 眼から筒先までの距離は170mmとなり, 視野の半径は約1度となるので, 北極星は視野の縁の1/3手前に入れれば良いことになる. 筒先から眼までの距離が伸びる分, 筒先の見え方がシャープになるのも良い.
<ポラリエの孔+ぺんてる+げんこつ=視野半径1度の素通し極軸望遠鏡(笑)>
これを使って再挑戦を今夜...
追記: 使ってみた結果
<M42: 200mm F4->5.6, X-E2, ISO3200, 2min, トリミング, 縮小, 色調整>
スタックしてないが2分露出だとこのくらい写るということか...
<M81-82: 同上. 多少流れてしまった.>
北斗七星の近くにある銀河を撮ろうとすると, ポラリエにカメラが干渉してしまって向けられない. 200mmレンズ(胴に1/4"ネジ付きの脚があるタイプ)にカメラをつけたものを自由雲台に載せてポラリエに装荷する場合, どうもカメラとポラリエ本体が干渉して北の方に向けにくい.
この写真を撮る前にポラリエを90度倒して再度極軸調整をして何とか思う方向にカメラを向けたが, 極軸合わせの精度が悪かったかポラリエを横向きにすると問題があるのか... この後の写真は少し星が流れている.
ちなみにカメラと200mmレンズを合わせて1.5kg弱なのでポラリエの積載重量以内にはなっている. バランスをとりつつ位置の自由度を上げるためにはポラリエと自由雲台の間にプレートを入れて位置をずらせるようにすれば良いかも知れない. 場合に寄ってはウェイトも追加(ステップアップキットの真似!?)?
まとめ
- 取り敢えず, ぺんてるシャープのおかげで極軸調整はしやすくなった.
- 昨日より格段に良いのは, ヤフオクで買って今日届いた三脚(ベルボン Super Ace, かなりでかい)が結構安定している効果もある.
- 北に向けるときカメラがポラリエに干渉しないようにするためにもうひと工夫が必要.
追記: 解決? with ホームセンターL金具
北に向けるときの問題, 解決したかも?
ホームセンターに売っている鉄製のL金具(3.3mm厚, たぶんM5のボルト用の孔がある)の孔がΦ5.5くらいでちょうど1/4インチネジの下孔に使える! ただタップでネジを切るだけでカメラ用三脚のネジに取り付けられる. かなり得した気分.
ポラリエに載せる時にちょうど左右(東西)のバランスがとれるようにすれば追加のウェイトなしで大丈夫. これで北斗七星やカシオペヤ座付近にも向けられそう. 時間が経つとバランスがずれるので, モーメントが大きくなりすぎてガイド精度が落ちないように注意が必要だが, 荷物を増やさずに対応できるのが良い.
このL金具付きだと空のどこでも向けられて, つまりこっちにしとけば良いのかな?と思ったが, 実はこの状態では天頂に向けるときにカメラがポラリエに干渉してしまう. もう少し長いL金具を使うか, L金具なしにすれば大丈夫. 長いL金具にしてオールマイティに..という手は, しかし剛性とバランスの面で不安要素が増える. 結局, 全天カバーするにはL金具なしとありの両方を使い分けるのが良さそう.
追記2: 手帳用ペン, QS55はもうない?
私の使ったぺんてるQS55はポラリエにとって絶妙のサイズだったが, 今アマゾンを検索してもほとんど出てこない. 絶版? 軸径はメーカーそれぞれ違っていて7mmはなかなかない.
この↑サイトで手帳用のポールペンが比較されていて仕様がかなり詳しく出ている. そこでぺんてるのものがやはり軸径7mm.
やはりポラリエにはぺんてる!?