JPEG一枚撮りのお手軽撮影の月だが, 補正レンズなしの直焦点でAPS-Cセンサいっぱいの像が端までシャープ. (長焦点だとそういうもの?)
15〜20cmのクラシック・カセグレン (カセグレン系は補正レンズの種類によっていろいろあるので本来の補正レンズなし純反射系は最近そう呼ばれるらしい, 純カセグレンとも)が1, 2年前に笠井トレーディングやMICROTECHから発売されていて, モノは両方同じで台湾のGSO社で製造されているらしい.
以前にも純カセグレンの小型望遠鏡は製造されたことがあるが, 双曲面の副鏡の研磨精度を出すのが難しくて実際には理論ほどよく見えるモノにならず廃れてしまったと聞く. それが最近は安価なコンパクトカメラのレンズにも非球面を使うのは当たり前になり, 今の技術を使えば双曲面もコワくないというのが最近になってまた純カセが復活した理由と思われる.
昨年R200SSが来てから15cmF5のBKP150の稼働率が下がってほぼ惑星用にしか使っていなかった. 惑星専用ならもっと長焦点のが良いので, 昨年の惑星シーズンが終わってから某オークションに売りに出し, 代わりに長焦点のカセグレン系を...と企んだ. それで結局, 諸事情(いちばん安い, とか)を考慮してこのクラシック・カセグレンに手を出すことに...
リスク(悩みどころ)は...
- まだ使っている人は多くないらしく, ネットにたくさん上がっている天体写真でこれらの鏡筒を使った作例はホントに少ない. なので実力が未知数.
- 光軸合わせできるのか?
- スパイダーがある(シュミカセやマクカセには無い)から高倍率にはベストじゃない.
- 倍の値段で評判の良いマクカセをつかむべきではないか?
ということだが, 天リフのレビューとか, 海外のレビューは悪くはない.
- ◯◯カセのなかでいちばん安い.
- 前に補正板が無いのでフードとか付けなくても結露の悩みがあまりない.
- フォーカス調整はシュミカセの主鏡を動かすやつじゃなく, 普通のだからミラーシフトの心配なし.
- GSOのモデルは筒内にバッフルがあって迷光処理が良さそう(高コントラストが期待).
- RCは(一見似ている)もっと安いが副鏡が大きくて高倍率向きではないらしい.
- カセグレンの光軸合わせはできるらしい(Newtonより簡単らしい).
- 某マクカセは人気のせいなのか中国からの物流の滞りなのか, 納期が遅いらしい.
などの要因が背中を押して, 低迷するコロナ時代の経済にささやかなる貢献をすることになった.
これまでのところ, 二重星や月を見た感じは, Newtonよりも視野のコントラストは高い. また, 15cmF12で焦点距離が約1830mmあるので覗きやすく抜けの良い賞月観星10mmアイピースで180倍, 6mmで300倍の倍率が得られる. 実際の分解能がどのくらいかは, シーイングの良い季節になってから...
短所は...
- 天頂プリズムや双眼装置を使った眼視を考慮してか, 鏡筒の後ろの焦点までの距離がかなり長い.
- クレイフォードの接眼部はストロークが短く, 眼視とか撮影の切り替えのために筒をつないだり外したりするのが面倒かも. (延長筒が付属してる)
- 撮影だと, たくさんつなぐ必要があって後ろが重くなる.
もう少し焦点を鏡筒の後端に近く設計していれば副鏡サイズも小さくなって像は良くなっただろうに...(どなたかのブログにもそんなようなことが書いてあった)とも思う. 副鏡サイズが50mmくらいで, F5のBKP150と変わらないので, 確かに長焦点(F12)にしてはもったいないという気はする.
まあ接眼部が特殊な仕様というわけではなく融通は効くので, よく見えればこのくらいは問題にならないでしょう.
さて, 今年の惑星シーズンにどんな像が見られるか....
追記
その後, 時間を見つけてまじめに画像処理してみた. お手軽1枚撮りでなく, この日にとったコマをスタックしてみたらこんな感じ.
上の1枚撮りと比べてみると....
スタックで粒状のノイズは減って滑らかな感じになるが, 解像度(感覚的な?)は上がっているのかどうか???という気もする. いや, エッジは丸まってもノイズに不明瞭になっているところは安定して描かれるようになっているみたいだから良いのか?
ASIカメラで撮ったコペルニクス・クレーターはこんな感じに...
以上.