人工星なるものを見つけた.
核融合で人工太陽を作る話じゃなく, 望遠鏡の光軸修正用の道具. Hubble Opticsという会社(US)のHubble 5-stars artificial starという製品. 検索するとこれしか出てこない.
金属箔に直径50~250μmのピンホールを開けたものがLED懐中電灯についているだけ. 人工星はすごく遠くにすごく小さい円光源(近似的に無限遠の点光源)がないとダメと思っていたのだがこんなのでOKなのか...ということで入手してみた.
オールプラスチックで完璧にチープな造りだが.
三脚に載せて固定するために例によってヤスリとエポキシのワザで三脚座をつけた.
ピンホールはサビや磁性の粉でダメになるので保管はちゃんとしないとダメらしい. 1.25インチアイピースのフタの余ってたのがちょうどはまって良い感じ. 黒い四角い板は5つのピンホールのうち不要なものを塞ぐ磁石の板.
そもそも, 人工星に手を出したのはNewton式にしてもカセグレン式にしても, 光軸調整がChesireアイピースだけで済まなそうだから. 完璧に合わせたつもりでも星を見ると焦点の近傍で星像が歪んでしまうので, 結局星像(焦点のちょっと外れたところ)で調整を詰めていかなければならない. ところがそのためには望遠鏡の温度順応ができていてシーイングがかなり良いというのが必要条件で, これを得るために天気を見て星のまたたきを見て機材を外に持ち出して温度がなじむまで待って...とえらい手間, その手間をかけてもシーイングが悪かったりすぐ曇ったりでボツの時もある.
人工星が使えれば天候に関わらず屋内でもできる. (ただ, 20mくらいの距離が取れる場所が必要なので, 体育館, 集会所, 神社仏閣くらいの広い空間が...)
嵐の夜に光軸調整を...
本堂の端に人工星を置き, 約20m離れた廊下の端で...
R200SSは延長筒も無しでASIカメラでフォーカス. 5cm延長筒で眼視もフォーカスが出る.
一方, GS-150CCは手元にある筒を全部集めてつなげるだけつないでやっとASIカメラでフォーカス. 眼視はフォーカスが出なかった. 20mじゃ短いらしい. (精密な平面鏡で光路を折りたためば良いか...)
いちばん小さい50μmのピンホールの人工星で光軸調整してみた.
R200SS 焦点像 | 焦点内像 | 焦点外像 |
焦点近傍でいびつさが残るのは鏡の歪? ネジの締め具合か鏡の取付けか?
GS-150CC 焦点像 | 焦点内像 | 焦点外像 |
:-)
こうやって星が点に見えるように調整したあとで, Cheshireアイピースやセンタリングアイピースを付けて接眼部から除いてみると, 同心円パターンが結構くずれていたりする.
主鏡, 斜鏡や副鏡, 接眼筒の取付け位置は鏡筒の工作精度によるし, 主鏡の曲面の軸の位置は面の精度による. そこら辺の誤差があるから光軸をベストにしたら位置がズレたりするのだろうか? まあ, 星がちゃんと見えるのが正義(笑)