Long time no see, Jupiter :-)♪
春らしくなって上空の気流もだんだん安定してきたらしい. 4/5朝は少し風があったが木星がよく見えた.
BKP150の購入以来, 高倍率にするとフォーカスがあまり良くない(気流のせいなのか光学系の精度が悪いのか??)というフラストレーションがあったが, Sky Watcherの3.2mmアイピース, 234倍で木星の模様がわりと見えたのでちょっと安心. 写真を撮ってみた.
15cm反射(Sky Watcher BKP150), Vixen PL6.3mmアイピースで拡大, X-E2 ISO6400 1/15s, コントラストの出ているもの34枚を選択してスタック.
(darktableでRAW画像変換, Sirilでスタック)
木星は明るいと思っていたが拡大撮影ではISOをかなり上げてもシャッター速度はあまり速くできず1/15sくらい. ゆらいでいるのを止めることは無理で眼視の感じよりかなりソフトになってしまう.
GimpでWavelet分解による処理
Wavelet分解という処理で画像をもっとシャープにできるらしいので, Linuxで使えるソフトを探したら, Gimpでpluginがあるらしい. (バージョン2.10には最初から含まれている) (Wavelet decomposeはpluginの他にScript-Fuフィルタなど複数作られている)
Ubuntu 18.04ではgimp-plugin-registryというパッケージにWavelet decomposition pluginが含まれているのでこれをインストールすればOK.
$ sudo apt install gimp-plugin-registry
やり方
- 画像ファイルを読み込む
- Filters => Generic => Wavelet decompose.. , オプションのダイアログはとりあえずそのままでOK
すると, 元の画像のレイヤの上に波長ごとに分解されたレイヤ(1〜5)と, 残りの情報(residual)を含むレイヤが生成される.
- 一旦すべてのレイヤを非表示にしてからレイヤ1〜5を見ると, レイヤ(波長成分)によって情報量の違いがあることが分かる
- ノイズを含むレイヤを消去(Delete)し, 有意な情報を含んでいるレイヤをコピー(Duplicate)して強調する(たくさんDuplicateするほど濃くなる)
これで, 画像をスムーズにしたり, 鮮明にしたりできるということのようだ.
プレビューを見ながら画像の中の埋もれていた細部の模様などが鮮明になるように調整して, 完成したら
- レイヤのタブで右クリック, "Merge visible layers" (Clip to image)をやって1枚の画像にする
- JPGなどでExport
以上.
一般の写真ではお肌のシミやソバカスを消したり, 特定のパターンを鮮明にしたりするために使われるらしい.
試してみた
上の木星をWaveletでやってみると...
埋もれていた模様が少しでてきたかも. (気流によるゆらぎ, 比較的遅いシャッター速度, スタックのためにボケていたものが復活)
スタックする前にWavelet分解による処理をした方が効果がある? 面倒かも...
しかしやりすぎると変な感じになる.
これは明らかに本物の模様ではないパターンが目立つ.
先日の月にもWavelet分解による処理を施してみた.
欠けぎわやクレータの縁がかなりシャープな感じに. ちょっとやりすぎ?
木星の目玉が見たい!
ところで, もう少し早く起きていれば大赤斑(Great Red Spot=GRS)が見えたはずだが見逃してしまった. 木星は自転周期が10時間弱で短いので, 一晩見ていればかなりの確率で大赤斑がこちらを向くはずだが, 今は木星が昇ってくるのが夜半すぎだし木星が空にあるとき晴れるかどうかは?だし夜は寝たいし...という諸事情により, よほど狙って見ないと大赤斑を見ることは難しい. 実際, 今まで大赤斑を見たことがなかったりする.
それでStellariumで調べて計画的にアタックを試みることに. ここしばらくの間で大赤斑がこちら(正面)を向いていて木星が空にあって, 夜明け前に赤斑が見られそうな時刻は... (追記: 間違っていたので訂正↓↓↓下をご覧ください)
4/7-04:20
4/9-06:00
4/10-01:50
4/11-07:40
4/12-03:30
4/14-05:10
4/15-01:00
4/16-06:50
4/17-02:40
4/19-04:00
4/20-00:00
4/21-06:00
4/22-01:50
4/24-03:40
この前後各1.5時間くらいの間なら大赤斑が見られるはず.
天気が良いときに早起きして... 木星とeye contact を!
追記: 大赤斑の位置は違う!!
実はStellariumの表示は正しくないとのこと. 大赤斑の経度は最近は年に24度くらいずつずれていて, プラネタリウムソフトなどの表示は必ずしも正しくないらしい.
このサイトに大赤斑が子午線(正面)を通過する時刻(世界標準時UST)がある. また, ...
www.skyandtelescope.comここでは, 日付を入力するとその近くの大赤斑が正面に来る時刻を表示する. 日本時間(JST)はUSTの+9時間だが, それを入力すれば日本時間でも表示される. 結果は上のサイトの表とだいたい同じくらい. JSTだと以下のように(見えそうな時刻だけ抜粋).
04/07/2019 @ 02:18 am
04/09/2019 @ 03:56 am
04/11/2019 @ 05:34 am
04/12/2019 @ 01:25 am
04/13/2019 @ 07:12 am
04/14/2019 @ 03:04 am
04/16/2019 @ 04:42 am
04/17/2019 @ 00:33 am
04/18/2019 @ 06:20 am
04/19/2019 @ 02:11 am
04/21/2019 @ 03:49 am
04/23/2019 @ 05:27 am
04/24/2019 @ 01:18 am
04/25/2019 @ 07:05 am
...
だいたいStellarium 0.18.0による計算の2時間前くらいになっている. Stellarium 0.18.2では修正されているらしい.
Ubuntu 18.04.2 LTSでインストールされているStellarium 0.18.0では, ユーザーの設定ファイルを修正すれば大赤斑の位置は正しくなるはず...ということで調べてみると, 以下のようにすれば上のサイトの結果とほぼ同じ時刻で大赤斑が正面に来るようになる.
設定ファイル(私は$HOME/.stellarium/においている)の中の config.ini に大赤斑の位置に関係する設定項目がある. 以下のようにする.
flag_grs_costom = true
grs_drift = 24
grs_longitude = 100
この設定で4/7 2:18 の木星(Telescopeのイメージ)はこのように.
4/23 5:27も大丈夫なのでたぶんこれで良いのでしょう.
調べて今更ながら知ったのは, 木星の大気の模様である大赤斑は月や火星の固い表面と違って文字通り流動的ということ. 木星そのものがガス状惑星なので緯度帯によっても自転速度が異なり(地球でも偏西風とか大気の流れがあるのと同じ), 大赤斑の経度は流れに乗って変わるので天文の推算というよりは気象予報のように気まぐれな要素を含むということらしい. それでも350年も存在し続けているというから超長寿命台風みたい.
木星の大赤斑というものは小学校低学年のときに天文少年(宇宙人?)になって以来知っているが, 50すぎてハマるとは(笑)
追記2(2020/8/10)
先日大赤斑の位置がStellariumの表示とずれていたので, Stellariumの設定パラメータを少し変えた.
flag_grs_costom = true
grs_drift = 21
grs_longitude = 80
grs_drift : 1年間の経度方向の移動
grs_longitude : 基準時刻の位置(経度, 北極から見て時計回り)
この2つのパラメータをいじるのだが, driftの方はここに最近は月に1.75°とあるので年間21°とした. それで先日見た位置(8/4 19:00に真ん中)になるようにlogitudeを合わせた.
ちなみに, これはStellariumのバージョン0.18.0用. 最近0.20.2が公開されていて, そちらでやってみると(AppImageをダウンロード)少しずれてしまう. 0.20.2では
grs_longitude = 160
くらいが良さそう.