風来坊@真幸福知

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韓国大法院の徴用工訴訟判決に関する記事いくつか

念のためこの判決で問題となった1965年の日韓請求権協定をリンクしておく. (日本語と韓国語の全文)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/A-S40-293_1.pdf

興味深い記事をいくつか.

日経BP 「混迷する朝鮮半島:日韓「友好幻想」の終焉」重村智計氏記事.

business.nikkeibp.co.jp

「徴用工訴訟」で韓国大法院が日本企業に賠償を命じたと報じられているが, 実はちょっと違うという指摘. 原告は「徴用工」ではなく, 命じられたのは「慰謝料の支払」. 根拠がないと命じることができない未払い賃金や補償ではなく, いわば何でも訴えられる慰謝料.

それにしても, 大統領の圧倒的な権力のもとで任命された国内司法(地方裁判長から大法院長に大抜擢など, 大法院13人中7人が文在寅政権任命)が国同士の約束である協定, それも現在の両国国交の基礎をなす協定を一方的に反故にするとは.... 大統領が変わる度に前大統領が投獄されるし, 国家としての連続性を常に疑って付き合わなければならない隣国なのか...

記事は, これによって北朝鮮と日本の国交正常化交渉に影響を与える意図があると読む. つまり北に日本に対する徴用工慰謝料請求を促し, 日朝国交正常化交渉を妨害しようとしていると. (北と日本の国交交渉では最初から解放後の補償問題の話があることは了解済みだと思うが???)

東洋経済ONLINEの東京新聞 五味洋治氏の記事は判決文の内容を吟味している.
「徴用工判決で問われる「日韓国交正常化の闇」 韓国大法廷の判決文を熟読してわかったこと」

toyokeizai.net

請求権(基本的人権を侵害された場合に救済を求める権利)は固有のもので放棄できない.

協定では日韓両政府が内容をあいまいにしたまま終戦日以前に生じた「請求権」について「いかなる主張もすることができない」とした.

確かに協定文を読んでみると主語があいまいにされた文言が意図的に使用されていると言われても仕方のない部分があり(外交の常なのだろうが), 合意できない部分をぼかして双方が合意したことにして前進してきたところ, その陰で無念を抱き続けるしかなかった人々が存在していたという現実が今噴き出しているのだろう.

2人の裁判官の補足意見として, 以下が引用される.

大韓民国政府と日本政府が強制動員被害者たちの精神的苦痛を過度に軽視し、その実像を調査・確認しようとする努力すらしないまま請求権協定を締結した可能性もある。請求権協定で強制動員慰謝料請求権について明確に定めていない責任は協定を締結した当事者らが負担すべきであり、これを被害者らに転嫁してはならない

筆者コメント

これまで外交であいまいにやり過ごした点を、過去にさかのぼって、すべて白日の下にさらしてしまったのも事実だ。それだけに、解決策が見出しにくくなった。

 朝日新聞GLOBE 「韓国人記者が見た元徴用工裁判」(朝日新聞ソウル支局記者 황선진)

globe.asahi.com

韓国の記者の記事だけあって,

丁寧に歴史を紐解いた判決文

と評価. 1965年の協定締結以後の韓国内の動きを辿っている.

1974年から韓国政府が協定にしたがって国内の元徴用工への補償を行っているが,

韓国政府が認めた徴用工関係者は22万6千人。市民団体が主張する関係者は100万人に上る。

のように行き届かず無念を抱えたままの人々が大勢存在する実態があるとのこと. 今回の裁判の原告は4人だが, そのうち3人は亡くなっている.

裁判直後、遺族が発した言葉も耳に残っている。「政府にもっと前から、悔しい思いを解決してほしかった」

とも. 判決が日本にだけ向けられたものではなく, 韓国政府にも向けられていることを指摘.

今回の判決の背景には, 朝鮮戦後の極貧状態から抜け出すのに必死だった60-70年代, 軍政から民主化に動いた80年代を経て経済発展を遂げた今になって, 未だ晴れない無念を晴らしたい気持ちに寄り添おうとする文政権や司法の姿勢があるのかもしれない(ひいき目に見れば).

しかし, 法の不遡及や国際協定によって課題を解決したことの意味(こだわれば決して解決できない対立する利害を方便でも調整して平和と発展を図る)についての国際的な常識を受け容れず, 民族感情による正義に自ら酔い, その正義が国外に通用すると錯覚する愚かさ(ちょっと言葉がきついかな)を露呈するのは決して賢明なことではなさそう.

北への度を過ぎた宥和政策もあるし, 今後韓国経済がどういう方向へ向かうのか気になるところ. 韓国株は今年に入って下がっている. またウォン高が襲う!?