読売新聞2017/7/23(16面)に6/6の原子力機構(JAEA)大洗でのプルトニウム等内部被曝事故についての詳しい記事があった.
<記事を貼っちゃうと著作権がダメなので読めなくしてあります, 詳しくは新聞を>
当初胸の内部被曝モニタリング(?)で最大22000Bqのプルトニウムを吸引したかもということで, 過去最悪の内部被曝事故と騒がれていた. ご本人にとっては推定12Svとなる線量とのことで生命に関わる量となりさぞ不安に苛まれたことと思う. その後目立つ記事が出ず, なんでプラスチック容器が破裂するほどガスが溜まったのか? 内部被曝のその後など気になりつつフォローしていなかったが, 読売の記事で事故の経緯がよくまとまっていた.
幸い, 当初の大きな内部被曝量推定は体外に付着していた物質のためだったらしいとのことで, 排泄物の検査による詳細な評価の結果200mSv以下とのこと, ご本人は何よりホッとされたことだろう.
(何か, ネット上では当初のすごい数値と非難轟々の記事が目立つのに比べて, この辺のとりあえずホッとする情報が少なすぎる..."200mSv以下"を出さずに"内部被曝があった"ことだけを報じている場合もある. そういう書き方には, なんだかなぁ〜と思う.)
容器内のガスの発生については, 放射性物質やポリ容器が放射線分解して発生したらしい. なるほど, 長期間の保存や強い放射線源の場合, 樹脂の放射線による化学変化に注意しなければならないが, その観点が忘れられていたということか...
全面マスクではなく半面マスクをつけていたことや, 事故後放射性物質の拡散防止のために作業員が現場の作業室に3時間も足止めされたことなどが問題視されているようだが, プラスチックは放射線による化学変化に弱いということへの注意が最大の問題のように思われる. 放射性物質を扱う作業現場ではポリエチレンの袋やシートが汚染物の密封の用途で大量に使用される. 長期に渡る保管ではマズイということは重要な視点. (密封された物質の点検だったら私でも半面マスクくらいで疑問なく入ると思う)
水素が発生しそうだが, もしも水素に引火すればもっと大変になっていたかも...
放射性物質の保管について, 本来保管すべきところでない作業現場の傍らなどに"仮置き"状態で放置されていたり, 内容物が記載されず置かれている古い遺産がたくさんあるなど, 長年の研究開発の副産物としての"積年の課題"があるという話も目にする. 施設が古くて点検保守が必要なのに予算がよく当てられていないという話も載っている(除染用のシャワーがダメだった).
研究開発機関としては今日の仕事をこなして研究開発成果を上げ続けなければ存在できないという側面と, 放射線や核物質を扱う事業者として特に重要な安全管理を両方やるには相応のお金と人が要る. しかし現実は予算不足...となれば, 結局, 従来の延長で仕事を続けようとすればするほどほころびがでてくる. 何かをやめてやるべきことを絞って充分な予算を当てるしかないんじゃないかと思ったりする. 原子力発電所の発電をやめさせたように, 例えば1年研究しなくていいから安全管理だけ完璧にやりなさい...と言って予算と人は確保しとくなんてことはできないんでしょうね...