縁あってUPF(Universal Peace Federation)の平和大使協議会というのに参加させていただいている. 今年は創設者文鮮明(ムン・ソンミョン)師の生誕100周年などの記念もあり, 史上最大の規模でソウル郊外のKINTEX(国際会議場)でワールド・サミット2020という会議が2/3-8に開催された. 今回は私も地元の平和大使協議会から声をかけていただき, 参加させていただいた.
↓↓会議のサマリーがUPFのサイトに出ていた↓↓
約170カ国から約6000名の参加, その中には約120名の国家首脳級VIP, その他国会・地方議員, 宗教指導者, 学術関係者, メディア関係者, 経済界関係者が含まれ, 各々の専門分野の分科会が並行して開かれるという大規模な会議だった.
プレナリセッション(全体会合)の会場(下の写真)は向こうの端の人が点にしか見えない広さ. 真ん中の舞台の講演者もゴマ粒状態で正面に6面くらいある巨大スクリーンの映像で顔を見ながら同時通訳のラジオで話を聞く感じ.
UPFの会議には今まで学術と宗教の枠で数回参加させていただいたことがあるが, 今回のこの規模には圧倒された.
キーノートスピーチは国家首脳級の方がぞろぞろと登壇.
会場に掲げられたバナーには"Interdependence, Mutual prosperity, Universal values"(共に生き, 共に栄える, 普遍的価値の共有)というスローガン. スピーチの内容はそれぞれの立場から語られるが, この共通の方向性は確実に受けとめられていることが伺われた. (賛同するからこそコロナウィルスの渦中でもワザワザ来られたわけで...)
韓国のイ・ジュヨン国会副議長は「人間の力は不足である. この運動は政治と宗教が協力して平和を実現しようとしていることの価値が評価されるべき. 韓半島の統一は世界の協力が必要.」
カンボジアのフン・セン首相, ミャンマーのティオ副大統領は「紛争と破壊を経験したからこそ平和のために努力している. 平和を実現できる人材教育を重要視している」と.
ニジェールのラフィニ首相「平和が日常にない時が長かった. ここには5000名以上の平和のために行動する人が集まった. 協力を求める」と平和を希求する切実な訴え.
ミャンマーやアフリカ各地では近々サミットの開催が計画されているらしく, UPFと関係国が壇上で協定にサイン.
ちなみに, 上の写真の左下の花束は北朝鮮から文師生誕100周年祝賀として贈られたもの. 1991年の金日成(キム・イルソン)主席と文鮮明師夫妻の会談(人間中心の主体思想では平和にならない, 神を受け容れなければいけないと演説して大問題になったが結果として親交を結んだという武勇伝がある)で結ばれた信頼関係は, その子と孫である金正日, 金正恩氏の代にも継承され, 国際情勢の変化にも関わらずUPFには何らかの期待を持たれ, 交流が継続しているとのこと.
グァテマラのモラレス前大統領は「言葉にすることはできても行動する人は少ない. 行動には勇気と自己犠牲が必要」としてこの運動を生涯を通して先導してきた文鮮明, 韓鶴子夫妻の功績を讃えた.
全体行事のひとつとして, 2015年に韓鶴子総裁の提唱で設立された鮮鶴平和賞(Sunhak Peace Prize)の第4回授賞式があった. 今回は文師生誕100年記念特別賞が前国連事務総長の潘基文(パン・ギムン)氏に贈られた. あまり知らなかったが, 気候変動とSDGsのための大きな貢献の他, 小国の代表の話をよく聞いてくれる事務総長として高い評価があったとのこと. 平和賞受賞者はセネガルで腐敗の一掃と民主化による経済再建に成功したSall大統領, パレスチナのキリスト教牧師として宗教間対話とエルサレムの和平のために長年努力してきたYounan師.
Younan師の受賞は, UPFの宗教間協力の組織であるIAPD (Interreligious Association for Peace and Development) にも大きな刺激となったのではないかと思う.
私は宗教者の枠で参加させていただいたので, 後半はIAPDの分科会に参加した. 諸宗教の代表によるろうそくの祈りから始まり, 基調講演, パネルディスカッション.
全体会議の冒頭でも諸宗教の祈りがあったが(上の写真右下), それが印象的だったので記す. 各宗教の代表が水瓶をもって壇上の中央に集まり, 各々の水を大きな器に注いでひとつにする. 川が海に流れ込むと一つになる「百川源を異にして皆海に帰す」を象徴する儀式である. 南アフリカのキリスト教系の霊的宗教の指導者で多くの信者をもち預言者と呼ばれるRadebe(ハデベ)師(IAPDのアフリカ議長を務める)の代表祈祷は「Under the perfection of Heavenly Parents, we will unite ... for interdenence, mutual prosperity and universal vaues」(メモが多少心もとないですが..) UPFと韓鶴子総裁に出会って受け容れたヴィジョンを自分の責任で実現するという意志が伝わる, 静かだが力強い祈りと感じた.
彼はIAPDの分科会でも, 「マザー・ムーン(韓鶴子総裁)が我々をひとつにした. アフリカ各地での壮大な祝福行事を通してアフリカの全ての民を子として抱く母の力を示した」と証言.
IAPD世界議長のStallings司教は「宗教に優劣はない. 全ての宗教が真理のある一面を伝えているにすぎない.」と宗教間交流の基本(マナー?)を語られ, パネルディスカッションでは多様な宗教の代表から活動や体験の報告があった.
時に, 会場で歴史的和解が起こることもある. 残念ながらスピーチの内容を聴き逃したが, 中東の方らしいターバン姿の二人のパネラーが, 話し終わった後で抱き合って涙を流す場面があった.
印象的な話を2つ.
広島の東和空師: 原爆で多くの犠牲があった広島に住職として赴任したとき, 1年間にわたって毎朝お寺から爆心地までの行脚をされた. 継続するうちに賛同していっしょに歩く方が増え, 祈りが深まり, どんな宗教の人も共に祈ることができる超宗教の慰霊の場が必要だと悟り, その方向に活動しているとのこと.
ニュージーランドで宗教間対話の活動を長年している方の話: クライストチャーチでキリスト教, イスラム教を始め多くの宗教のコミュニティがあり, 互いに交流して顔の見える関係を作ってきた. 昨年3月にイスラム教のモスクが銃撃され51名が犠牲となる惨事が発生した. 人種や宗教間の葛藤が先鋭化しそうな不穏な雰囲気を感じたため, すぐに超宗教交流コミュニティが集まって話しあい, 共に悲しみ共に祈るという主旨の声明を発表した. これによって不穏な空気を払拭し, 人々がひとつになって祈りを深める方向を作ることができた.
宗教はそれぞれの伝統を守ることも大事だろうが, 実は異なる宗教の人々が集まって共通の目的を見つけて協力するということによって, バラバラになって弱体化している(かもしれない)現在の宗教が, 隠れた真価を表すことができるのでは? それが今という時代なのではないか? と感じる会議だった.
<合掌>