風来坊@真幸福知

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服部禎男: 遺言 私が見た原子力と放射能の真実

www.kinokuniya.co.jp

(追記: amazon.co.jpの本のページをリンクしていましたが切れてしまうので紀伊国屋のリンクに変更しました. Kindleもあります.)

2017年に出た本だが, 最近読んでみた.

服部禎男氏といえば, 放射線ホルミシス(微量放射線被ばくは体に良い)を主張している電中研の方, というくらいの認識だった.

「遺言」というインパクト絶大なタイトル(ご本人はご存命)の本書で, 電力会社から始まり原子力研究に関わって来られた人生経験の証言を通じ, 小型ナトリウム高速炉と乾式再処理による人類のための原子力技術というアイディアを主張される.

福島の事故以来, 原子力の扱いと人類のためのエネルギーの行方に誰も明確な道を示せず迷いの中にある現状に一石を投じるもの. もんじゅが頓挫し湿式再処理があまり順調に進んでいないように見える現状を打開するために注目すべき主張に見える.

最終章では, 原子力は神が人類の幸福のために与えた贈り物という, 著者が科学技術の道を通じて得た一種の啓示のような考えが披露される. これには同感. 自然の道理を追求すれば, 人類がいかに絶妙に「設計」され,「仕組まれた」「有難い」宇宙に住ませていただいているのかを感じざるを得ない. そこに「感謝」を感じるのか, そうではなく「普通のこと」と片付けるために理屈をこねるのか, そこが宗教と無神論のココロの違いだと思う.

さて, 小型ナトリウム高速炉(4S炉として東芝が設計)+乾式再処理. 3.11以前の原子力業界では, CO2問題のことが追い風となって将来的な方向性としての第4世代炉の開発が大きな流れとなっていたが, そのひとつとして開発されていたナトリウム高速炉(SFR; 日本ではJSFR)に比べちょっとマイナーな感じで東芝の4Sの話は見たことがある. 当時は経済性(化石燃料と経済的な観点で競合できること)にかなり重点があったのでそれに劣る小型炉は発展途上国への提供くらいの目的でしか注目されなかったのかも.

今は安全性と資源・環境論的な(つまり長期的な)観点がよりクローズアップされ, 経済性はそれなりであれば良いかも知れない. (実際, 日本で原発を全部止めた副作用は化石燃料ガボガボ燃やしつつじわじわ響いている) 再処理のオプションを増やす(従来の湿式はやりつつ, 乾式も実用化)ということもブレークスルーにつながる可能性があるし, 再度まじめに検討すべきオプションとして傾聴に値する提示と思われる.