天体写真では露光を稼ぎつつノイズを減らしたいという欲望を満たすために, 複数回撮影した画像を重ねて平均してノイズを減らすという処理をする. 昔のフィルムの時にはは印画紙に焼き付ける段階で複数のネガを位置を合わせて順に投影して露光するという方法だった. 子供の時に見ていた天体写真の本に惑星の写真でそれをやる例があったのを未だに覚えている. 「コンポジット法」とか言っていたような気がするが, 英語だとcomposite, compositionは画像の合成一般を言うようで, この方法のことはstackingというらしい.
位置を合わせるのをスマートにやろうと思ったら, 2つの画像の相互相関をとって位置のズレ(平行移動と回転)を検出して合わせるというアルゴリズムが良さそうな気がしつつ, 手も出していない. そういうのができるツールがあるんじゃないかとも思う. (追記2018/12/5 => Sirilというのがあった: 天体写真の画像処理2: Siril - 風来坊@真幸福知)
とりあえず位置合わせは目視と手動でやるとしたらGimp(Linuxでだいたい入ってるphotoshopもどき)でもstackingくらいできるんじゃないか?と思ってググると, こういう日本語のブログ記事を発見.
これを参考に先日の写真のいくつかをやってみた.
Gimpでstackingをやる方法をまとめておく:
- 同じ被写体の画像をN枚準備する. (3枚でもかなり効果あり)
- 1枚めの画像をGimpの'Open'で開く.
- 2枚め以降の画像を'Open as Layers'で開く. 'Layer'ダイアログボックスが開いていること.
- Layerダイアログで, 1枚めをVisibleに, 他をInvisibleにしておく.
- 2〜N枚めの画像(レイヤー)について, ひとつずつVisibleにして選択し, 以下の処理をする.
- Modeを'Difference'にする. 画像の差分が表示されるので, それを見て位置を合わせる.
- Modeを'Screen'にする. (いい感じに重ねてくれる. 詳しくはGimpマニュアル参照.)
- 重ね合わせると全体が明るくなるので, Colors -> Curvesでカーブの根本の所を調節し, 背景の黒がいい感じになるようにする. (これは1枚めのレイヤーに対してもしておく)
- 一旦Invisibleに戻し, 次のレイヤーへ.
- Layersダイアログで右クリック, 'Merge Visible Layers'をやる. オプションで'Final merged layers should be 'Clipped to image'を選択'.
- 画像の状態を確認し, 良ければFile->Exportで適当なファイル形式に出力.
いくつか, この方法でがんばってみた. 結構いけるかも♪
↑<アンドロメダ銀河. ちょっとだけ渦構造が見えるように...>
↑<二重星団. 天の川の星のぎっしり感. 下中央に2つの赤くて大きな散光星雲(ハートとソウル)が少し見えてきた.>
<オリオン大星雲の広がりが... 三星の下の星のまわりの赤い散光星雲も.>
↑<オリオン座〜ペルセウス座の天の川. スバルの左の赤い帯状の散光星雲(カリフォルニア星雲)が見えやすく...>