風来坊@真幸福知

風来坊@真幸福知

始まりは坐禅会のご案内, 思いつくことを何でも書いていたら星空系に... Started with Zazen session info. now almost astrophotos. 시작이 참선회 안내, 이제 별하늘 사진들.

キョンジュナムサンで幻の磨崖仏を探す!?

4年前にポハンに来たばかりのころに初めてキョンジュ・ナムサン(慶州南山 경주남산)に登った. 当時まだ同僚のアパートに居候していたのだが, 彼の家族が来るというので週末に追い出された機会に, 2泊でキョンジュをまわったのだ. 今と同じ11月の半ばか下旬だったと思う. ナムサンへの行き方もよく知らず, とりあえずキョンジュのバスターミナルに行って行き方を聞いてバスに乗ったら, たまたま同じバスにナムサンのガイドをしている高さんという方が乗っていて, どこで降りればよいかとか登山のルートとかを教えてくれた. 紅葉がきれいで, 西から登ってとりあえず頂上のクモボン(金鰲峰 금오봉, 468m)へ, そして東のトンイルジョン(統一殿 통일전)に降りた. 夕方近くなって下っている途中でふと見た, 珍しい癒やし系な顔の磨崖仏(まがいぶつ, レリーフみたいなやつ)をずっと忘れずに覚えている.

その時撮った写真を手がかりに後でいろいろ探してみるのだが, どこにもその仏像の正体についての情報が見つからない. 位置も, ナムサンの東側の中腹あたりで, トンイルジョンより南, チルブルアム(七仏庵 칠불암)よりは北のどこか, という程度しか分からない.

f:id:cheonghongsa:20171110083015j:plain

今年は韓国での最後の秋になりそうだし, 紅葉の季節になってまたあの磨崖仏が気になりだし, 天気の良い週末, 性懲りもなく探しに行くことにした. それで, 地図をまじまじと見ると, トンイルジョンとチルブルアムの間にはループになっているコースがひとつある. そこをぐるっと回ったらそのどこかにあるんじゃないか?という程度の見当で出発. (x印が見つけたその場所)

f:id:cheonghongsa:20171110082910j:plain

ナムサンは東側から見ると稜線の少し下あたりに仏像風の巨石, ナムサン ブソク(南山浮石 남산 부석)が見える. モヤイ像みたいな感じで縦長の巨石が土台みたいな石の上に乗っかっているのである. (上の写真, 右上にポツンと見える人形みたいな岩) その周囲にはコケシみたいな感じの巨石などがいくつか立っていて, 遠くから見るといかにもなにか居そうな雰囲気を出している. 地図によるとその少し下あたりにジアムゴルサムチュンソクタプ(ジアム谷三層石塔 지암골 삼층석탑)という表示がある. 何かその辺じゃないかという気がしてくる.

登って行くと, なにやら巨石発見. 人が入れるような穴がある. その近くにはムダン(巫堂)の人たちが祈祷するみたいな祭壇と石塔が. 

f:id:cheonghongsa:20171110082923j:plain

f:id:cheonghongsa:20171110082931j:plain

通りすぎてさらに登り, 分かれ道から下りの方に入ると, 何となく見たことのある景色.

そして発見! (わりとあっけない, 1時間くらい歩いた?)

f:id:cheonghongsa:20171110082941j:plain

ちょうど朝の木漏れ日が挿していい感じの照明になっているので(それをねらって来たのだ)写真撮りまくる. よく見るとやや漫画チックな顔. 冠らしきものがあり観音様?と思ったりする. 気になる正体だが, 周囲を見ても説明の表示などが何もない. もしかしたら文化財とかじゃなく最近の人が彫ったのだろうか? など???は消えない.

この近くでカレー屋さんを開いている歴史研究家のアラキ氏に聞いてみようと決め, 天気もいいし勢いで頂上までいって降りる.

これが間近で見るナムサンブソク(中央左上のモヤイ像の横顔みたいなやつ)とその仲間たち.

f:id:cheonghongsa:20171110082949j:plain

その辺が景色の良い展望スポット. (頂上はかえって周囲を木に塞がれて見えなかったりする)

f:id:cheonghongsa:20171110082958j:plain

f:id:cheonghongsa:20171110083008j:plain

f:id:cheonghongsa:20171110083002j:plain

さて, 麓のアラキカレー店で昼ごはんを食べるも, 大繁盛で忙しそうなアラキ氏とゆっくり話す時間はとれず...帰り際にちょこっと聞いたら, こちら側にある磨崖仏は知らないとおっしゃる. なるほど, 由緒あるものではないのか...と思いつつ, さらに諦めずに案内所のガイドさんに聞きに行く.

案内所は山の反対側, 西側の駐車場にある. ナムサンはこじんまりしてるので車で回って行くと15分くらいで反対側に行ける. 以前会った高さんのいる(こともある)案内所である. 本日は案内の名札をつけたおじさんおばさんが数人. そこで撮ってきた写真を見せて質問すると, 地元のおばちゃん恐るべし, ナムサンにある仏像はくまなくご存知の雰囲気.

曰く, ナムサンには表示のない仏像もたくさんあり, それらは形式的には正式な仏像の格式からちょっと外れていて製作者や年代も特定されておらず, おそらく高麗時代や朝鮮時代に民間人が個人的な信仰で彫ったものと考えられ, ミンブル(民仏 민불)と呼ばれているとのこと. この仏像はクンジバウィ(큰지바위 大きな地岩)ミンブルと呼ばれているそうだ. それが彫られている巨岩がクンジバウィ. それには, 登山道からは見えにくい上の方にもあと2つくらいミンブルがあるとか...

さらに, その近くにあった祈祷の形跡のことも教えてくれた. ナムサンが国立公園になる前は民間信仰の人たちがテントを張ったりして住み込んで祈祷していたらしいが, 今はテントを建てたり焚き火をしたりするのは禁止されたので来なくなった. ミンブルが彫られたのはそれよりもっと前の時代, まだ自由に泊まりこんだり彫刻したりできた時だから近代以前ということらしい.

長年(4年だけだけど)の疑問がきれいに解けた秋の一日.

f:id:cheonghongsa:20171110082917j:plain

赤いコチュ(唐辛子)が鮮やか.