韓国では特に官公庁や学校の文書フォーマットとして「ハングル」という老舗の韓国語ワープロの形式が多用される. まあ日本で(今もかな...)一太郎が使われていたのと同じようなものだろうと思う. 国産ソフトを使いましょう的な?
한글과 컴퓨터 (ハングルとコンピュータ), 通称ハンコム(Hancom)という会社のHancom Officeという製品の中のワープロ. その名(ᄒᆞᆫ글<=フォントによっては文字が崩れるかも)「ハングル」は, 한に現在使われるア=ㅏと異なり, 昔の(本来の)字体であるアレアが使われているところなど, 相当こだわりがありそう.
製品はWindows版(が基本かな?), Mac版, それからAndroidとiOSにも供給されている.
Linuxで暮らしていると, この形式を添付ファイルでもらってしまった時にう〜ん, となっていたのだが, 数年前からLinuxの主要ディストリビューション向け(FedoraとUbuntuね)にビューアソフトが配布されていて, かなり重宝している.
"ハングル"フォーマットの文書はもちろん, MS Wordのファイルまでほぼ完璧に表示してくれるからだ. どこかで見た話では, 「ハングル」のファイル形式はMS Wordとかなり構造が似ているらしい.
「ハングル」のファイルを表示. まあこれは当然, このためのビューアなんだから.
MS Word (2013)のファイルを表示. これはすごい. 数式, 図, 表, コメントまでほぼ完璧.
笑えるのは, 数式についてはMathTypeのはちゃんと表示するが最近のWordの数式エディタのはダメみたい. MathTypeを使いましょう:-)
このビューアは印刷もできるし, 印刷の際にPDFファイルに出力もできるので, HWP or DOCX => PDFコンバータとしてもほぼ完璧に機能してしまう.
コマンドラインでこの変換をやってくれるとありがたいけど, コマンドラインスイッチみたいなものはないみたい.
この印刷機能にひとつ問題があって, 何故か用紙サイズがUS Letterに固定されていてA4に出すと端が切れてしまうということにしばらく悩んでいたが, 解決した.
環境変数 LC_PAPERに設定されたロカールによってUS Letter かA4になるらしく, A4に印刷(またはPDF出力)するには
LC_PAPER=ja_JP.UTF-8 hwpviewer <file> &
とかやって起動すればよい.
.bashrc などに
export LC_PAPER=ja_JP.UTF-8
とやっておいてももちろんOK.
Hancomのダウンロードサイト(英語版)
https://www.hancom.com/global/cs_center/csDownload.do
ビューアはWindows, Mac, Android, iOSもある. Windowsのはやたらファイルサイズがでかくて, ほぼ試用版のHancom Officeじゃないかと疑う.
ちなみに, MS Wordでは「ハングル」形式のファイルを変換して読み込むコンバータがMicrosoftから配布されている. (Wordでハングルのファイルを取り込んで編集可能. 「ハングル」形式への出力はダメ.)
https://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=36772
以上.