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311慰霊祭@プサン

きまぐれ日記 韓国探訪

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昨日は6年めとなる3/11. 知り合いのキム・ムンギル教授の韓日文化研究所というところで行われた3.11東日本大震災津波犠牲者の慰霊祭に参加.

主催しているのはテグ大学の特殊教育の専門家, パク・ファムン教授. 今年で6回めの慰霊祭で, 昨年からキム・ムンギル先生といっしょに開催するようになったとのこと.

この方は筑波大で博士号をとり日本語が堪能で茶道にも親しみ日本に多くの知り合いがいるのだが, 震災の数日前に海に潮が渦巻く光景を夢に見て, 東京の知り合いの僧侶とそのことを話して互いに不思議がっていた所, 日本の震災のニュースを聞き, 新聞に夢で見たのと同じ海の渦巻き(茨城の大洗沿岸で撮影されたあれのことかも)の写真が載っているのを見てびっくりしたとのこと. 何か縁を感じて1年後に慶州の仏国寺で慰霊祭を捧げ, 自分でもウルサン郊外に庵を立ててそこでも慰霊祭をし, これまで毎年続けてきた.

今回の慰霊祭には, 何とか大学教授とか, 韓国なんとか協会理事だとか, ロータリークラブの役をしているなんとか社長とか, 反原発の弁護士さんとか,たぶん皆私より年長の人たち20人ほどが参加していた. 多くは日本への留学経験があったり, 日本とのつながりのある人たち.

慰霊の献花などの後, キム・ムンギル教授(日韓関係史が専門)の最近発見したという関東大震災当時の混乱の中での朝鮮人殺害事件の関連文献, その関係者の3.1独立運動(関東大震災の4年前)との関連についてのスピーチがあったりした. 何か震災の慰霊よりキム・ムンギルカラーが濃くなってるんじゃない?と感じるが, 致し方ない. 韓国では「日帝時代のひどい話」でスピーカーの語気がだんだん強くなり「恨」を基調とする民族感情が湧き上がってしまうシーンに出くわしてしまうことが時々ある. ところどころ「それはオーバーでしょう」と思うところもあるが, 全体としてそういう事件があったことは否定できないから, 被告席にいるような気分で聞く.

こういうシーンでは, 韓国で中高校を卒業した娘が歴史の授業ではこんな雰囲気を味わったのかな, と感じたりする.

ひと通りそういう話が終わった次に, 私が指名されて挨拶することになり, 当時原子力事故の専門家として経験したことなどを話す. 日本が植民地時代に朝鮮人に与えた苦痛については聞くたびに心が痛いが, 今日はそれを謝罪する場でもなくそういう立場でもないから私は謝罪しないと断って, 311の犠牲者(Wikipediaによると死者・行方不明者18446名, 震災関連死3523名), 関東大震災の犠牲者(10万人以上), その中の不当に殺害された朝鮮人の方々への哀悼の意を述べて冥福を祈り, 慰霊祭を継続して主催して来られたパク教授に感謝して話を終えた.

あれだけ語気を強めて日帝の残虐さを語った後だが, 午後は主だった人々とお茶しながら日韓の交流や最近の韓国の不安定な情勢などにつき韓国語と日本語が入り混じった談笑.

生の韓国の人たちと付き合うと, 感情の奥にある恨が湧きだしてしまう彼らの深層(恨みの霊が憑依?)のようなものを覗いてしまうのだと思う. いちいち反論せずに一旦聴いて, その後で落ち着いてからこちらの率直な心情を吐露することで心が通じ, 恨を少しづつ解けるのではないかと感じる. それでも最後は, 彼ら自身の「許す」という決断によるしかなく, それ無しでは彼ら自身の幸福も発展もないだろうと思う.

「過去と他人は変えられない. 自分と未来は変えられる.」

私はもしも謝罪を述べる立場に立ったならば「許して下さい(용서해 주십시오)」と言うことにしており, 人にもそれを勧める. こちらが謝罪したら次はそちらが許してくれる番でしょという意味を込めて.

一昨年末の慰安婦問題の日韓合意が重要な区切りだが, 日本は現実的に国家という「体面」が向き合う場で出来る限りの謝罪をしてきたと思う. 韓国内でもことさら日本の糾弾を続ける勢力反日・反米・反政府が一体の政治的運動だ. また, 周囲の人と個人的に話すと, 秀吉が朝鮮を侵略して耳や鼻を切って行った蛮行も当時の戦争というものはそういうものだった, 日帝が朝鮮を支配したのも当時の強国はみなそうしたものだ, ただ韓国が弱かったのだ, という発言も聞かれ, かえって驚くこともある.

 一方で, この慰霊祭を6年にわたって主催しているパク・ファムン先生などのように, 韓国では啓示を受けたり夢を見たりする霊性・宗教性に富んだ人たちに出会うことも多い. 悲運の多い歴史の中での多くの民族的犠牲の上に, 豊かな霊的感性を与えられている面があるように思う.

日本は目に見えるもの, 韓国は目に見えないものに恵まれている, と形容できるのではないか?と思うこともある.

夕方には階下の食堂で有名だというナマズ鍋(메기전골 メギチョンゴル)(タイ料理に似た香草が入ってるやつ)をごちそうになって別れた.